地球のはぐれ方

私たちの住んでいる地球上には身近な存在なんだけれども、どこか異界のようにはぐれてしまっている場所がいくつかあります。そんな観光地にスポットライトを当てて紹介している本をみつけました。案内人は村上春樹氏、吉本由美さん、そして日本珍紀行でおなじみの都築響一さんのお三方です。

東京するめクラブ 地球のはぐれ方

東京するめクラブ 地球のはぐれ方

名古屋、熱海、ハワイ、江ノ島、サハリン、清里を、ムラカミ隊長と「東京するめクラブ」が徹底探検。近場の秘境、魔都、パラダイスでの驚天動地の発見満載の旅行記。『TITLE』連載を単行本化。

選んでる場所がコアというかお約束の場所、昭和を感じる熱海、、江の島、清里やハワイ、名古屋とサハリンというラインナップがなんとも期待をさせてくれました。

熱海に関してはなぜ、箱根になれなかったのか?客に見捨てられたのか?ということでいまや廃墟ホテルとゴーストリゾートマンションが建ち並ぶ、方向性の見えない温泉地になってしまった熱海の憂いをレポしています。
読んでいて的を得た見解とポンと膝を叩いたのは全盛期の熱海は団体客を相手にしていたため、料金を安くして、料理、居室やサービスでもおおざっぱであっても流れるだけなので客も納得していて問題はなかった。しかし、団体旅行から個人旅行に時代が動いたときに同じ時期に団体流れ作業サービスのつけで客足の減った箱根なんかは美味く個人客に対するサービスに取り組んでいきなんとかブランドイメージを保守したのだけれども熱海はずっと団体用のサービスに徹してしまったため、客から見捨てられ衰退をしていったということらしいです。
廃れ具合が大規模なので今は廃墟ファンには堪らない場所になっているのも皮肉なことではありますが、このまま観光遺産となるのでしょうか?

ハワイに関してはワイキキを楽しむということで通がダセーというワイキキの観光や食べ物を紹介していたり、アロハシャツをオーダーしたりしてますが、私が一番気になっていた「ドン・ホーのディナーショー」にも潜入しているのには笑いました。凄く有名な人らしいけれど実態がつかめなかったハワイのエンターティナー、ドン・ホーショーの謎に迫っています。
そしてそして、オアフ島神社仏閣巡りに感動!私はコンクリートで出来たカネオヘ平等院にはいったことがあったのですが、例えば本願寺衆派の寺はなんとハワイ諸島に35寺もあるそうな・・・。他にもハワイ浄土宗別院、ハワイ金比羅神社大宰府天満宮さらにハワイ出雲大社、とどめはホノルル・メモリアル・パークキョウトガーデンズという三重塔や金閣寺を模した仏閣ながある庭園など、青い空と南国ムードのハワイの島にこんなにも日本的な神社仏閣があったとはうかつでした。次回ハワイ行きの際には神社仏閣めぐりをしてみたいものです。

ハワイの次には江の島、江の島もレトロな場所なんですが、ここはずっとこのままでいて欲しいという独自の呼吸を感じるので変わらずにいて欲しいなと思いました。あえて時代にこびるよりもこういう観光地はこれでいいのだと思うのです。
江の島のエスカーに乗って弁天様を拝んでシラス丼食べて帰ってくる。善男善女の正しい過ごし方ってなもんです。

対して、清里は私も7年くらい前に友人と行ったことがあるのですが、メルヘン、ファンシーの建築がいっぱいで自然と全然マッチしていないのが逆に清清しく感じました。牛のキーホルダーをお土産によく貰ったものです。ご他聞にもれずに80年代の終焉とともに衰退していったのですが、また最近はその当時のファンシーを謳歌した人たちが車に乗って子供を伴ってやってくるとか。誰も予想しなかったリバイバル復活をしたという不思議な場所でありますね。

私の清里の思い出といえば私は清泉寮で台風の突風吹き荒れる暴風雨の中でソフトクリームを食べたことがあります。ファンシーとソフトクリームってのも切り離せないマストアイテムなのですが、暴風雨の中で食べるとワイルドな感じになります。どうも私にはファンシーが似合わないようで・・・。

清里で思い出すもうひとつの話。
泉麻人氏の著書やコラムでよく清里が糾弾されていたことを思い出します。なぜか合わせてダサいというイメージで杉山清貴を聴く奴もダサい扱いされていたのを思い出してしまいました。著作では清里のペンションに泊まってファンシーな牛のキーホルダーもってオメガトライブ時代の杉山さんが好きって言ってる女がダメだとなぜか清里ファンシーと杉山清貴がセットになっていました(どして?)
ダサいかけかたのお見本みたいにして、たしかMCシスターのコラムではサングラスのかけ方までいちゃもんつけていたし、泉氏はきっと杉山清貴を嫌いだったんだろうなーと思います。杉山清貴って清里の軽さとか軟弱さとか多勢に無勢に擦り寄る感じがカンに触ったのかもしれませんねとかってに解釈をしているのですが、さてどうでしょ?


この本に載っているはぐれた場所はどれもダサさが漂うのですが、凄く素敵な場所ばかりです。ダサいのって実はかっこいいのではないかと私は思うのですが??このままずっと手の届かないくらいにはぐれていってほしいと願ってみたりするのです。