妖怪大戦争

旧作の68年製作「妖怪大戦争」を愛してやまないくらいのファンであります。(※3月7日の日記に紹介をしています)ここんところ妖怪ついているので仕事帰りにレンタルビデオ店に行って借りてきたのが2005年公開の「妖怪大戦争」です。10本位レンタル店にあったのですが貸し出し中で1本だけ返却があって妖怪映画好きとしては感激。3月から見ようと思っていたのがやっとみることが出来ました。

舞台は鳥取なんですね。(水木さんの故郷だ!)お祭りで麒麟送子に選ばれた主人公の稲生タダシが妖怪ととともに帝都を滅ぼそうとする魔人、加藤保憲を倒すために戦うという物語です。
都会から鳥取の田舎にきた転校生のタダシはいつもへたれでいじめられっこだったんですが、妖怪達と力を合わせて戦うことによって成長して強くなっていくというストーリー展開。しかし、肝心の魔人がイマイチ弱いんですね。手下の鳥刺し妖女アギの方が強いです、ハイ。ちょっとデビルマンの妖鳥シレーヌ思わせるような衣装をまとっていかしてます。

加藤って?ああ、帝都物語の加藤じゃありませんか!ドーマンセーマンの紋章みてやっと思い出しました。荒俣先生作ってことで再び復活ってことですか?
加藤保憲については↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E4%BF%9D%E6%86%B2
嶋田さんが演じた加藤のイメージが強いのでちょっと今回の加藤は魔人ぶりが少ないかなと思いました。嶋田さんが余りにも怪演しちゃったから豊悦だとキレイ過ぎです。
と文句いいつつも妖怪がこれでもかと出てくるのには感激。さすがプロデュースチーム「怪」水木しげる荒俣宏京極夏彦宮部みゆきの面々作っただけあります。みんな本当に妖怪を愛している人たちなんですね。
子供の頃に絵でみていた妖怪が想像とおりにみんな実体化しているんです。水木御大が製作に参加しているので「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターたくさん出てきます。一反木綿もかわいいし、「すねこすりも」たまんなく可愛い。妖怪達の人間くささがたまらなく良いですね。妖怪達の役者さんもかなり良いです。吉本の芸人さんが大挙して出ています。
河太郎、大天狗、猩猩、油すまし、あずきとぎ、唐傘などなど本当に妖怪大図鑑から飛び出してきた妖怪達がいっぱいでしかもしゃべるし動くというのは感動ものでした。
件(くだん)も出てたのですが、かなりリアルに再現されていました。
しかし・・・忌野清志郎が「ぬらりひょん」を演じるとは誰が想像したのでしょうか(笑)
妖怪が出てくるたびに○○だ!(妖怪の名前)と叫んで齡36歳が喜んで騒いでいました。

クライマックスのタダシと加藤の戦いの場面では帝都に全国から妖怪が大挙して集まってきます。このスケールが凄く大きくていい!しかも戦うんじゃなくて「祭り」ってことでやってきたというくだりは笑えます。戦いの要塞にぐんぐん近づいてくる妖怪の群れの壮観さに圧倒されました。こんなにたくさんの妖怪を見たことはかつてないでしょう。しかもディティールも細かい、本当に素晴らしいです。でもこんな妖怪マイムマイムは実際に見たら腰抜かしますね。

とここまで盛り上げておいて・・・・ラストはあっけなく加藤が倒されてしまいます。ちょっと拍子抜けorz

最後に怪のメンバーの山ン本五郎佐衛門:荒俣 宏氏、神野悪五郎:京極夏彦氏、 妖怪大翁:水木しげる氏が出てくるのですが、山ん本五郎左衛門の名前を見て了解しました。やはり「稲生物怪録」をモチーフに使っていたのですね。妖怪大翁が神輿に乗っている様は稲生物怪録の中の妖怪大将の登場の絵巻のまんまですし、山ン本五郎左衛門は稲生平太郎を脅かしていた妖怪の大将で、神野悪五郎は山ン本五郎左衛門と勢力を二部する妖怪の大将です。詳しいことは↓ウィキペアの「山ン本五郎左衛門」へ。稲生物怪録などのリンクもあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E3%83%B3%E6%9C%AC%E4%BA%94%E9%83%8E%E5%B7%A6%E8%A1%9B%E9%96%80
稲生タダシ少年は稲生平太郎が現代に蘇ったと思えば合点がいきます。こういうオチの遊び心は妖怪ファンとしてはとても嬉しくなりました。

水木御大演ずる妖怪大翁のお言葉はとても重みがありました。
「戦争はいけません、ハラが減るだけです」
これは妖怪達からの人間へのメッセージなのでしょうね。

大人になったタダシが「すねこすり」が近くにいるのに気がつかないという場面は少し物悲しくなってしまいました。妖怪っていうのは子供にしか見えないもの?違うんですよね。信じるものに見えるものが妖怪なんですね。80歳過ぎても水木御大には見えるんですから信じる心はいつまでも持っていたいもんです。

ちなみにこの映画、旧作の名作「妖怪大戦争」には全く関係ないストーリーです。リメイクではありませんので全くの別ストーリーとして妖怪ファンならば楽しめると思います。
妖怪プロモーションビデオって感じでしょうか。といいつつ私はかなり気に入ってしまいました。

※「すねこすり」って確かパタリロにも出てくるのですね。パタリロの作者、魔夜峰央先生はかなりたくさんの妖怪描いています。まあパタリロの存在も妖怪に近いような気もしますが・・・。

TB 妖怪大戦争稲生物怪録この二つの関連性はREAL LIFEさん、この方のブログ記事がきっかけでです。多謝感謝。