上妻宏光の無限の可能性

津軽三味線のイメージは東北青森の厳しい冬の海と雪景色。盲目の名手、高橋竹山の力強く激しくももの悲しい三味線の奏でる音色。日本人の心のふるさととも言える音楽です。

そんな、ちょっと古臭いイメージのあった三味線の音色がこの人の登場によって一変した感があります。裃つけて座って演奏すると思っていた三味線をスタンディングで演奏してなおかつ、ビジュアルもクールにきめていて(ロッカーのような細身の皮パンと柄シャツのスタイルにクロムハーツを身につけてなんと茶髪!顔立ちも切れ長の目がクールでした)とてもカッコ良かった。ファーストコンタクトは「たけしの誰でもピカソ」のコーナーで人形使いの方とのコラボでの演奏を見たときだったと思います。音色も素晴らしいし、人形とのコラボも素晴らしくて、上妻宏光本人もカッコいい!クールでありながらどこか懐かしい哀愁のあるメロディーを奏でる若者にノックアウトされ、テレビ画面を見ながらメモして、翌日CDショップに走って↓のファーストアルバムを買ったのでした。

AGATSUMA

AGATSUMA

代表曲の「游」をはじめとして
三味線がロックしてフュージョンして最高に心地良かったです。また正当の津軽じょんがら節なども収録されていて本当に上手い!プロフィールを調べてみると、いまどきのあんちゃんの格好していますが、津軽三味線の素地はたいしたもんです。出身は以外にも茨城県の方です。津軽の人でなければ津軽三味線は弾けないといわれたこともあったそうですが、

6歳から津軽三味線を始め、三味線コンテストの最高峰といわれる「津軽三味線全国大会」で、95年、96年と2年連続優勝経験をもつ

という実力派でもあるのです。


Beyond (CCCD)

Beyond (CCCD)

新世代津軽三味線奏者の旗頭といえる上妻宏光の4thアルバム。全10曲中の9曲は上妻作曲のオリジナルで、各曲で斬新なアプローチを試み、これまで以上に独自の世界を追求している。冒頭の「暁の光」からダンス・ビートに乗せて三味線がギター・リフのごとくドライヴし、「Shami’s Groove」や「panther」はグルーヴィーな演奏の中でダイナミックに弾きまくり、現代的なポップ音楽に溶け込む三味線プレイを確立させた感がある。

共演者も豪華で、アコーディオンcobaやギターの渡辺香津美カホーン斉藤ノブらと三味線が絡み合う場面もスリリングだ。三味線の可能性をいっそう広げた意欲作。(小山 守)

01暁の光
02悲しみの果て
03Shami's Groove
04紙の舞(Beyond Version)
05ペンノレ - 津軽よされ節
06tears...
07panther
08鼓動
09In the sky
10君への想い

02の「悲しみの果て」はアコーディオン奏者のcobaさんとのコラボ。
三味線とアコーディオンのもの悲しい音色のダブルインパクトが日本人の琴線にこれでもかと心のひだにひっかかります。このアルバム一番のお気に入り曲です。

上妻さんのCDはドライブに似合います。例えば北に向かう高速道路なんかをかっとんで聴いたらもう最高に気持ち良いのです。ピーカンの空や夕暮れに聴きたいですね。

http://agatsuma.tv/index.html←オフィシャルサイトにて近況を見てみたら海外進出されていたり、三味線一本ひっさげての全国ツアーなど精力的に活動をなさっているそうです。

常に新しいものに挑戦し続ける上妻宏光さんには無限の可能性があると信じています。