洞窟観音

高崎観音山には高崎白衣観音の他にもうひとつ観音様の名所があります。
頂上駐車場の観光センターおじちゃんに歩いていきたいと相談したら、一キロ先のふもとなんで雨もかなり降っているしと車で行きなさいといわれてそうすることに決定。
案内センターのおじちゃんには観音山の周辺地図やら高崎の案内パンフレットをたくさん貰いました。観音山の説明もしてもらい中で写真を拝見。親切なおじちゃん二人に手を振ってもらい駐車場を出発。一路、洞窟観音に向かいます。途中に「カッパピア」のメインゲート入り口も見えました。バリケードで囲ってあって、ものものしい雰囲気。繁盛していた昭和50年代を知るものとしては複雑な心境です。おやまゆうえんちや横浜ドリームランドと同じような想い出の喪失感です。
そんな感傷に浸り5分くらいで洞窟観音の看板が見えて到着しました。

入り口が切り立った崖に造ってあります。その上に不動明王などの石彫りの彫刻があって下には暗い洞窟の入り口と木のドアと窓・・・雨もザーザー降ってきていてちょっとゴシック風味のいい塩梅の景色となっておりました。和風ホーンテッドマンションかはたまた、東松山に岩窟ホテルっていうのがあるんですが、もし営業をしていたらこんな入り口だったのかしらんと思ってしまいました。洞窟入り口の小屋におじちゃんがいて入館料800円を払って中に入ります。おじちゃん、いい感じの好々爺で素敵です。思わず絵葉書購入。

洞窟入り口の前にたたずむと奥にずっと見えるコンクリートのトンネル・・・明かりはおぼろげ、雨は相変わらずザーザーと降り続ける中、入っていきました。
雨の音と中が水に濡れていて湿気がかなりあります。ジメジメっという感じで音がよく共鳴します。そんな薄暗いトンネルを進むと右、左に穴が開いているのが見えます。覗いてみるとそこに石彫りの観音様がいらっしゃいました。かなりの腕前の表現で素晴らしい石彫りの細工の観音様です。洞窟の中に石彫りの名工、楽山が彫刻した西国三番の如意輪観音、十一面観音、千手観音、坂東三十三変化観音の33体の計36体もの観音が安置されているのです。

観音を安置した内部には溶岩で作った背景もあって、まさに自然の調和をかもしだしています。更に観音様を見ながらずっと奥の方に進んでいくと突然天井が高く通路も広くなりました。大ドームとパンフレットには書いてありました。
今までは一体一体の観音様だったのですが、大きな岩などが見えます。観音滝という作品だとか。自然の巨大岩、溶岩で深山の渓谷を作り、更に滝もあしらい砂で川を現すジオラマ広がっていました。そこに安置されているいくつもの観音像・・・。ぼんやりとした灯りの中に幻想的な雰囲気と神聖さをかもし出しておりました。


他にも二つ、自然世界と観音様の大作があって圧巻され、信仰の力を感じずにはいられませんでした。大作の後のには大きな立像の聖観音などが安置されていてこちらも素晴らしい出来でした。

約400mの洞窟内にこのような空間が広がっているとは感動。
出口のトンネルを出るころにそとの景色が見えてきたときは異空間から出てきたような気持ちになりました。

このとてつもない洞窟観音を作ったのは群馬出身の呉服商人、山田徳蔵氏。今でいう100億円の財産を築き、亡くなる80歳まで38年にわたり私財を注ぎ込み観音霊場として、ツルハシ、スコップの手仕事で洞窟観音を作ったのでした。
洞窟内の大小空間は翁の構想による、彼岸の楽土であり、神秘的な法悦の世界を表現しているそうです。観音群は霊場だったということです。

しかし・・・この洞窟風景どこかで見覚えが?
映画「八墓村」で壊れて鬼女となった小川真由美ショーケンを追いかける洞窟ですね(笑)または、江戸川乱歩明智小五郎シリーズの「パノラマ島奇談」とか・・・。
ろうそくのぼんやりした灯りだけで夜に回ってみたら神秘体験ができるかもしれません。

洞窟観音は山徳記念館(山田徳蔵を略しているのですね)と併設されているのでお隣の日本庭園、徳明園と山徳記念館も行ってきました。北関東一の庭園といわれる名勝の庭園だそうで秋の紅葉は素晴らしいと入り口のおじちゃんイチオシでした。この庭園にも閻魔様、鬼、浦島太郎などの石造が見受けられて山田翁の世界観、哲学が見受けられます。

そぼふる秋雨の日もまたよろし。