河鍋暁斎記念美術館

先週の火曜日10月24日に仕事で戸田に行った折、ふと思い出したのが河鍋暁斎記念美術館です。カーナビでみるとなんと0.7キロ先の距離と出たのでちょいと行ってみることにしました。つまりオサボリ休憩ってことですね。こういうサプライズは行かねばならないというわけでGO!
河鍋暁斎記念美術館HP↓
http://www2.ocn.ne.jp/~kkkb/Kyousaij.html
建物のすぐ近くに駐車場があるのでそこに車を止めて少し歩くと河鍋暁斎記念美術館に辿りつきます。今年の一月に来ているので幕末最後の浮世絵師、河鍋暁斎の世界 - monksiiru(もんくしーる)の日記玄関の呼び鈴を押して中に入れてもらいます。入場料は300円也。
今回の展示は↓のようなものでした。

9月1日(金)〜10月25日(水)〔休館日:毎週木曜日、9月26日〜9月30日〕内容:暁斎は、若き頃から大蔵流狂言を学び、素人狂言師として舞台に上がることもありました。その暁斎が得意とした能・狂言画を中心に、暁斎の娘で宝生流の謡を学んだこともある暁翠の描いた能画もあわせて展示します。暁斎筆「扇面 狂言・瓜盗人」(掛軸)、暁斎画『能楽図絵』(本)、暁翠筆「能・石橋」(掛軸)ほか

24日だったのでギリギリ間に合ったという感じです。

第一展示室に入ると、能にちなんだ絵がたくさんかざってあります。
「釣狐」などは帳面になっていて下書きを見ることが出来ます。写実的な描写の暁斎は下絵も素晴らしい描写です。狐の躍動感が伝わってくるようでした。
掛け軸になっている肉筆画も素晴らしい。「高砂」の翁と嫗、「石橋」の獅子など多彩な題目にもそれぞれの世界を作り上げています。
ここでいつも気になるのははじにひっそりとおいているカエル灯篭、台座にカエルそして灯りを入れるのはカエルのお腹というカエル好きの暁斎ならではの一品です。浮世絵の師匠の国芳が猫の国芳ならば、暁斎はさしずめ蛙の暁斎ともいいますか。

第二展示室では下絵がたくさん展示されていました。高砂の翁と嫗の下絵。デッサン力の素晴らしさをこれでもかというくらい見ることができます。連獅子などの躍動感は素晴らしいものでした。能楽図絵では能面を描いていてこれもまた面白かったです。
そして、私が見つけたのは「能、黒塚」に登場する後シテの鬼女の姿でした。
安達ケ原の名前でも有名な今の福島県二本松市にある荒野安達ケ原にいた鬼婆の伝説、病気の姫を助けるために宿をこうた妊婦を殺し生胆を取ろうとしたときにその妊婦はわが娘だと気がつくという悲しいお話です。
黒塚では祐慶上人が安達ケ原で宿をこうたのが鬼婆の家で食われそうになるが、五大明王の呪文を唱え必死に祈り、鬼婆は祈り伏せられるというお話です。
前シテでは老女、後シテで鬼女が出てきます。

黒の衣装に、鬼の面をつけた姿を横から描いたものなのですが、これから前に歩みよ労するその姿に鬼気迫る迫力がありました。舞手の緊張感を見事に表現した一枚にただただ圧倒されてしまったわけです。

暁斎自身が素人狂言師として舞台に上がることもあったそうなので、能には並々ならぬ造形と愛着があったのでしょう。
素晴らしい展示の数々でした。

見終わった後には離れの資料館にて紅茶をご馳走になり、資料をみていると、百鬼夜行の絵巻を暁斎も描いているのを思い出しました。
調度、国立科学博物館で「化け物の文化誌展」をみてきたばかりでここで百鬼夜行絵巻が展示されていたので、暁斎の絵巻をしげしげと眺めてしまいました。本で見ただけですが、素晴らしい描写です。
やはり、暁斎の妖怪ものはもう一度来て是非、見てみなければ!