龍の子太郎

私は「まんが日本昔ばなし」が大好きで昨年から放送が再開されて非常に嬉しく思っていました。オープニングのアニメーションで竜に童子が乗ってくるのを見て懐かしくなり、久しぶりに読みたくなって図書館から借りてきました。
日本の児童文学の物語で一番好きなお話です。松谷みよ子さんが書かれたのですが、1979年にはアニメ映画化もされ東映まんが祭りで上映となり大々的に宣伝のCMを見た記憶があります。映画館では見ることが出来なかったのですが、テレビで放送されたときに見てなんてスケールが大きな話なんだと驚嘆して最後までおとなしく見た思い出があるのです。
今でもテーマ曲覚えてますからかなり印象に残ったのでしょう。

そして、今回は絵本と児童書を二つ借りてきて読んでみました。

たつのこたろう (新装版日本の名作)

たつのこたろう (新装版日本の名作)

龍の子太郎 (講談社青い鳥文庫)

龍の子太郎 (講談社青い鳥文庫)

りゅうになったという母をたずねて、龍の子太郎は旅にでる。てんぐさまに百人力をもらい、赤鬼・黒鬼をこらしめ、9つの山をこえて、太郎はついにりゅうにであうが……。日本各地につたわる昔話と伝説をもとに、みごとな叙事詩的ストーリーに結晶させた現代児童文学の傑作!

龍の子太郎が竜になったお母さんに会うまでの冒険と成長のお話なのですが、友達のあやを助けるために天狗と相撲を取ったり、赤鬼や黒鬼と戦って退治したりして成長をしてゆきます。9つの山をこえて最後には竜になったお母さんに会って山を切り崩し、湖を干拓して、田んぼを作ってみんなが豊かな生活が出来るようになり、お母さんも人間に戻れるというお話なのです。

この話はもともとは信州の小泉小太郎伝説を軸にしてみんなが知っている昔話、民話のエッセンスをちりばめて珠玉の物語にしました。だからなんとなくどこかで聞いた読んだような懐かしい感じがきっとするのですね。

子供の頃にアニメで見たときは竜のお母さんが太郎に乳の代わりに自分の目玉を差し出すところが非常に記憶に残っていました。あまりにもショッキングだったのでしょう。目のない目の穴から涙を流す竜のお母さんと目玉を受け取るおばあちゃんが記憶に残っているのです。一個ではたりずに両目を差し出す子を思う親の心の深さは例え姿が変わっても変わらないのですね。そんな優しいお母さんが何故、竜になったのかそれは岩魚を三匹食べたから・・・。苦しい山の生活はひとりじめするとそんな呪いが降りかかるくらい厳しいものだったのです。
太郎は鬼を退治して宝をみつけても、強欲長者の家で稲を千束もってきても独り占めをせずにみんなに分け与えます。ラストシーンでは山で生活している人々みなが幸せになることを願って、あやや動物たち、赤鬼の助けを受けて、竜のお母さんと山を切り崩し、海に向かって水が流れ出す場面は年甲斐もなく大感動してしまいました。

いつまでも子供たちに読みついで貰いたい一冊です。
とボケーっと書きながらネットでTBSで放映されていた「まんが日本昔ばなし」は今年の9月13日に放送終了になっていたのですねー。うわぁ残念。
タレントがだらだら出てる馴れ合いのくだらない(あえて書きます)番組を垂れ流しにするよりもこういう番組の方が大きな価値があると思うのですがね。いかがでしょうか?

また再放送してくれることTBSさんに期待&お願いします!