筋少の大車輪

あれは80年代、まだ20代になりたてのころ、世の中はDCブランドが流行り、空前のバンドブームが起こっていました。イカ天も大人気、そんなときに一歩先ゆく友人がいつも聞いていたのはナゴムレコードのインディーズレーベル。ライブハウスなんかも良く行っていてそんな話しを良くきいてました。筋肉少女帯を知ったのもそのころだったと思います。確か日本印度化計画を聞いたのがファーストコンタクトでした。キャッチーな歌詞で耳に残ったんですね。その後、有線などで「高木ブー伝説」とか「ボヨヨンロック」なんか流れていて記憶に残るのだけれどインディーズぽいなぁと思ってそれっきりでした。

月日は流れ、プロレス関連番組やらタモリ倶楽部でボーカルの大槻ケンヂ氏を見かけることが多くなりました。プロレスファンとしては嬉しいシンパシーだったんですが、筋肉少女帯の楽曲は聴くことは相変わらずなかったのす。
先日、図書館に行ってCDを探していたら、見つけたがこの「筋少の大車輪」です。
ベストアルバムだそうで聞いてみようと思い立ってダビングをして聞いてみました。

筋少の大車輪

筋少の大車輪

目からウロコっていうはこういうときのことをいうのでしょうか?
凄く良かったのです!
大槻ケンジの屈折した感性が暴走する世界感がたまんないなーと思って聞いていたら、先日読んだ筒井康隆自選ホラー集で後がきを書いてました。星新一から筒井康隆という遍歴で本を読んでいたそーで、どっちかというと暗い少年?だった気がしたのはドピンポンでした。ロックの歌詞って外に向かう破壊やら叫びなんですが、この人のロックって一人の戦い、自分の内面の奥へ奥へといく底なし沼の破壊なんですよね。そこがいい。江戸川乱歩も愛読だったそうでいい猟奇風味もたまりません。
そして、演奏はきっちりとレベルが高いというのもびっくり。ピアノソロが時折入ったりと静と動の対比が素晴らしく心をかき乱します。
長らく聞くことなく、うわぁ食わず嫌い損したーと後悔してしまいました。

このベストで気にいってしまったのは「これでいいのだ 」と「いくじなし」。歌っていない語りの曲なんですが、素晴らしい。ゆがんで屈折したお話。短編小説を読んだような気分になります。歌詞も文学的で不条理でいい。
久々に聞いた「日本印度化計画」や「元祖高木ブー伝説」も面白くて心底笑いました。

他の曲も秀逸なものが多くて筋肉少女帯、只今のお気に入りなのでありました。