うなぎの丸かじり

東海林さだおと聞くと本業は漫画家なのですが、東海林先生のあくなき食べ物への執着と底知れぬ食い意地発揮を記した食のエッセイ集、丸かじりシリーズを書いている人という認識の方が強くなっている私もやっぱり食い意地が人一倍張っているのでしょう。
そんな食い意地の集大成、丸かじりシリーズの第25弾です。

うなぎの丸かじり (丸かじりシリーズ (25))

うなぎの丸かじり (丸かじりシリーズ (25))

第一弾の「タコの丸かじり」から始まってさまざまなものな食べ物を紹介しているのですが、これが面白いのです。なんだか笑ってしまう。
今回もまた多岐にわたり、さまざまな食べ物、料理などを紹介しております。
食べ物にまつわる東海林先生の話にうんうんそうなんだよーとうなづきながら読んでしまっている自分にハッと我に返っていたりします。こまかい描写にシンパシー感じまくりです。そんなうんうんとうなづく話をいくつか

「ワカメの役柄」
期待しない具の味噌汁の中身はワカメが良いという話。
ワカメの力のないふわーとお椀の底から浮かんでくる具合が主張をしてなくて、定食などについてくるには実に良いという話。何もないのはやはり寂しいけれどもいてくれてよかったとホッとする存在がワカメなのだとか。味噌汁に哲学あり。

「カレージルが足りない」
お店で食べるカレーが得てしてルーだけ足りなくなってしまって、最後はご飯だけを食べることになることに対する怒りです。論議は展開してゆきどうして中華丼やカレー丼はご飯の上に餡が全部のっかているのにカレーは半分だけ(半がけ)なのだと湧き上がる疑問に対しても容赦なく切り込んでいきます。確かに言われてみればカレーってちょっとルーが足りないから配分が難しい食べ物ですね。
大阪の「自由軒」の名物カレーが唯一この問題を解決するのかもしれんと思ったのですが、どうでしょうか?
自由軒の名物カレー↓
http://www.jiyuken.co.jp/curry/index.html

「銀杏は復讐する」
銀杏が大好きなわたしにとってはおかしかったです。銀杏をフライパンでいるとはぜてきてホントに飛びまくります、それを拾うと熱いっていうのが実は実体験であったもので・・・。銀杏は熱すると兵器になると感じたものでした。
銀杏と言えば、鶴岡八幡宮の境内で銀杏を子供の頃買ってもらって食べるが大好きでした。今でも売っているのでしょうか?

「いまデパ屋は・・・」
身近な食材以外にもデパ地下からホテ地下くらいは私も知っていたのですが、時代は「デパ屋」(でぱおく)だそうで、東海林先生だけかもしれませんが・・・。新宿京王デパート屋上を査察してきていらっしゃいます。
読んでみるとなんか時間がのんびりとしていて、昔と変わらない光景がひろがっているそうです。園芸用品、昆虫売場など、そしてお目当ての飲食店にはラーメン、カレー、焼きそば、たこ焼きなどがあるというノスタルジックワールド展開の世界なのだとか。
“ここにいる人は「クリームソーダの似合う人たち」ばかり”
という素晴らしい表現でデパ屋にいる人たちを表現しています。この一文を読んで久しぶりにデパ屋に行きたくなってしまいました。

他にも抱腹絶倒の食べ物エッセイがてんこ盛りなのですが、時代は進んだなと感じたのはギリシア料理やハワイのロコモコ丼などの紹介もあったりして、東海林先生のあくなき食い意地は更にパワーアップしているなと実感したのでありました。

以前の丸かじりシリーズにあった、チャーシューの作り方は今でも私はよく作ります。
凄く簡単で豚のブロックの塊を水からゆでて、出来上がったらお醤油につけこむだけというもの。無駄ないようにビニールに入れて付け込むと楽ですね。余計なものを入れてはいけないというのが東海林先生らしいです。