マリー・アントワネット

フランシスコ・コッポラの愛娘、ソフィア・コッポラの製作した前衛的な史劇作品です。ヴェルサイユ宮殿でロケをしたことも興味を魅かれ映画館に行ってきました。
公式HP
http://www.ma-movie.jp/

マリー・アントワネットの生涯をかいつまんで説明すると、
マリー・アントワネットオーストリアのマリアテレジアの末娘で14歳のときにフランスとオーストリアの同盟のため、政略結婚として後にフランス国王ルイ16世、ルイに嫁ぎます。フランス王妃となったマリーアントワネットのヴェルサイユ宮殿での贅沢な生活はまるで夢のように過ぎて行きます。しかしそんな暮らしも、バスチーユ監獄の襲撃により勃発したフランス革命により終止符を向かえ、やがて王妃は断頭台の露と消えてゆくのです。」

映画ではオーストリアから嫁ぐ朝からフランス革命により宮廷を脱出するまでを描かれていますが、2時間ちょっとで詰め込むにはちと厳しかったのではないかと思いました。ひとつひとつのエピソードが走馬灯のように流れていってしまうので印象に残らなかったのが非常に残念でした。

辛口の意見をしょっぱなから書いてしまいましたがこれには理由があって日本には池田理代子先生の描かれた「ベルサイユのばら」という名作漫画があるので私の年代の女性はこの時期のフランスの歴史に、登場人物に特に思い入れが強いので点数が辛くなってしまうのかもしれません。このおかげで映画に出てくる登場人物はほとんどわかりました。

見終わってみて、細かい設定にこだわると凄くこじんまりしたものに見えてしまうのですが、全体の雰囲気をおおまかに楽しむと凄く素敵な映画だと思います。
例えば、全編に流れるテーマカラー、ベビーピンクの甘い世界観。マリーアントワネットの生きた時代はロココの文化が華やかに咲き乱れていた全盛期の時期です。全体的にフォーカスしたようなちょっと淡い画面にパステルカラーのピンク、水色、黄色、サテンに金など贅を尽くしたドレスやロココの衣装が絢爛豪華に咲き乱れるのは壮観です。
そして、ところどころに出てくる、スイーツの数々も素敵でした。
対比としてはマリーをはじめとする貴婦人達は優しいパステルカラーのドレスに身を包んでいるに反してルイ15世の愛人、デュバリー夫人だけが原色の赤や緑のドレスというのも視覚効果としては良かったと思います。

フランス革命勃発により宮廷を脱出するころには画面も衣装も暗くなっていくのが宴の終わりを暗示していてこちらもまた効果的だったと思います。
主役のキルスティン・ダンストをはじめ、女優人はみなロココのドレスに身をつつみとてもキュートでした。

ストーリーに関しては細かく見てアラ探しをしていくよりも、スーラの絵のように遠くからみてあらすじとしておおまかにマリーアントワネットの生涯の映画として観るのがいいのかなと思いました。マリーアントワネットのPVみたいもんでしょうか?スーラの絵は真近で見るよりも3mはなれてみて初めて絵の全体像が見えるのです。

音楽に関しては・・・史劇にロックという斬新さとかオープニングの黒幕にクールなゴシック赤字でのタイトルロールなどは私からするといらなかったのかなと思います。ロココの優雅さはやはり正当なクラシックが似合うと思ったのです。
これは「アマデウス」大好き人間の意見として(笑)

なにはともあれ、全体の雰囲気はとても好きなので良かったと思います。