化学物質過敏症

仕事でたまに分譲や賃貸で空き家になっている物件を見に行くことがあります。
これからの灼熱の季節は嫌だなぁといつも思います。理由はドアを開けた瞬間にお約束通りに「あのにおい」を胸いっぱいに吸う羽目になるからです。
「あのにおい」とは新築物件で窓を閉め切って連日の暑さで住宅建材の壁紙などの塗料が見事に揮発充満したにおいです。刺激臭としかいいようのない刺すようなにおいです。まず鼻が痛くなってそのあと目がしょぼしょぼしてきます。しかし中に入らねばいけないのでしばらく考え込んで「よし!」と心決めて中に入りすばやく窓を開け放し、ドアは自分の靴をストッパーにして風の通り道を作ります。風が入ってくると少しずつ中のにおいは消えてきますが、だるいような倦怠感がいつまでも残るのです。

新築物件は目や鼻が痛くなるという認識をそんなわけでずっと私は持っていたので自分が住む部屋はなるべく古い物件を探して住んでいました。あのにおいだけはどうも耐え切れなかったからなので窓を開け放しに出来る部屋というのもいつも部屋を決める条件にしていました。古くて窓がいっぱいある家は空気が新鮮な気がするんですね。

化学物質過敏症」という病名は知職業柄っていたのですが、実際にその病に対してリアル感を感じることは身近にいなかったのであまりなかったのですが、一昨年に化学物質過敏症に10数年苦しんでいられる方にお会いしてお話を聞く機会がありました。そのときに住む家を探すのに苦労されていうることやタバコの煙も反応してしまうので仕事も変えざる得なかったという話を聞いて私がしょっちゅう体験している新築物件のあのにおいが毒そのものなのではないかと思ったというわけです。以来、新築物件を見にいくことはまるで炭鉱のカナリヤのようだとちょっと恐怖しています。

そんなことを思いだしながら図書館でみつけたのがこの本です。

化学物質過敏症 (文春新書 (230))

化学物質過敏症 (文春新書 (230))

花粉症よりも怖いアレルギーがしのびよっている
目や皮膚が痛いだけではない。もしかしたら花粉症も、不眠症も、キレやすい子供も、ここにすべての原因があるのかもしれないのだ!

すさまじいばかりの猛威を振るう化学物質過敏症、3家族の証言に驚きました。新築した家に住んだばかりに体中を蝕まれていく様子に背筋が寒くなります。母親と子供が化学物質過敏症になった人は人と会ったり、外に出ることさえも化学物質に触れることになるのでままならない状態になって不便極まりない生活を強いられているそうです。

家族が留守中に自宅においていったハムスターが揮発した住宅から出た化学物質によって全滅してしまう家というのは果たして家といえるのか?と憤りを感じました。

敏感な体質の人がなるからと対岸の火事のように言ってはいられないようです。花粉症と同じでいつ自分も科学物質過敏症になるかわからないそうです。長い間化学物質をとり続けた場合はなるリスクが高いということなので、さしずめ私もいつなってもおかしくないのだろうなと思いました。長い間吸っていた「タバコ」ですね。タバコの煙も化学物質過敏症を引き起こす原因になるそうです。化学物質そのものを吸っていた喫煙者だった私は充分に皮膚と経口から取り込んでいるということでしょう。コップの水はスレスレと思われます。

実際に思い当たることがいくつかあるのです。以前に良く行っていたお店の何件かが行くのが辛くなりました。長時間滞在が出来なくなっていたのです。人がたくさんいて空気の悪い居酒屋、飲み屋さんなどなんですが、数ヶ月くらい前からそういう場所に行くと翌日に身体の調子が悪くなっていました。行かなくなったらそういうことがなくなったのでどうもあのタバコなどの空気の悪い場所に長時間いたのが良くなかったみたいです。
禁煙してからタバコにホント弱くなったなぁ、タバコのバチが当たっているなぁとしみじみ思うのでした。