金刀比羅宮 書院の美

徒然日記http://d.hatena.ne.jp/kyou2/20070805のkyou2さんの8月5日の日記にこの展覧会の紹介があり非常に興味を惹かれ行きたいなと思っていました。
水曜日に友人と谷中探索をする予定だったので上野で待ちあせたのですが、ここは予定に入っておらずにそのまま別の場所に向かうことになっていました。しかし、待ち合わせに遅れた彼女が手渡してくれたのは「金刀比羅宮 書院の美」の招待券。人間願えばものごとは叶うのですね。
思ってもいなかった感謝感激の展覧会鑑賞となりました。

http://www.asahi.com/konpira/

東京・上野の東京芸術大学大学美術館で開催中の「金刀比羅宮(ことひらぐう) 書院の美――応挙・若冲(じゃくちゅう)・岸岱(がんたい)」展は、「讃岐のこんぴらさん」の襖絵(ふすまえ)を現地以外でまとめて公開する初の試み。襖絵約130面をごっそり引っ越しさせ、書院を再現したユニークな展示で話題を呼んでいる。

入り口でポスターのキャッチコピーを見てやられたと思いました。
「この夏は、
上野の山へ
シュラシュシュシュ。」
こんぴらふねふねの歌が大好きなのでシュラシュシュシュといわれた日には、もうシュラシュシュシュしに行かねば(笑)

奥の院がそのままやってきたような豪華な襖絵の展覧会です。絵師はこれまた個性的な円山応挙伊藤若冲、岸岱の三人。

私のお目当てはポスターにもある応挙の描いた八頭の虎を描いた遊虎図。立体感のある虎なのですが、どこか可愛い雰囲気。写実的なんだけれどどこかユーモラス、しばし襖絵の前で考えると妙に丸っこいのですね。そうだ!東京国立博物館で見た応挙の描いた子犬の絵と似ているのです。寸詰まり具合がたまらなく可愛いかったです。この時代だと当たり前のことなんですが、応挙はホンモノの虎を見たことがなかったそうです。そんな中で伝聞や中国などのから来た資料を見て描いた虎と考えたら見事なリアリティを言えるでしょう。

次にみた岸岱の白鷺が舞う襖絵や植物画も襖の構図を縦横無尽に使ってまるで3Dの画面ようで、室内にいながらもさながら野に出たかのような気分になります。とても素晴らしかったです。

そして、若冲のコーナーへ襖植物図鑑こと、「花丸図」。皆がなかなか動かないので後ろで待っていて襖にたどり着いたら思わずうわぁと声を出してしまいました。見事な花の絵が描かれています。一つ一つを丁寧に見ても細かく描写されていて美しい。一緒に行った友人がハイビスカス発見したよというのでもう一回見に行ってみたらやっぱりハイビスカス。自宅に帰って調べてみたらハイビスカスってブッソウゲ(仏桑華)というそうですね。若冲の襖絵にはこっちの名前の方がしっくりくるような気がします。しかし、若冲は人気が高いようですね。一番混んでいるゾーンでした。

そして第二展示室へここには大きな奉納絵馬がかかっており、色彩豊かな武者絵などが多い中に一枚墨だけの大絵馬を発見。一匹の馬を描いたものなのですが月岡芳年が描いたものだそうです。いつも見る錦絵そのままの躍動感溢れる絵馬でした。

そしてkyou2さんの紹介で気になっていた例のアレを最後に発見。
「こんぴら狗」です。小さな瀬戸の犬がブースの片隅にちょこんと座っていました。金刀比羅参りに行けない家人のために変わりにお参りに行く人に同行させてもらい、首には旅の駄賃や金刀比羅さんの初穂料をつけてお参りをしてまた帰ってくるものなのだそうです。
実物を見てもなんだか小さいけれど凛としてご主人様の命を受けて来ていますという威厳がありました。ショップで1000円で売っていたのですが、金刀比羅に行かないこんぴら狗ではかわいそうなので買うのは止めました。ちょっとほしかったんですけれどね。

おまけといえばシュラシュシュシュというだけあって金刀比羅さんの奉納絵馬、こんなのもあるみたいですよ。
珍寺大道場
http://www41.tok2.com/home/kanihei5/kagawa-konpira.html

今回はこの入場券のでありがたいことにもうひとつの展覧会も見ることができました。
芸大コレクション展 歌川広重<名所江戸百景>のすべて
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2007/collection200707/index.htm

ご存知、東海道五十三次で名高い歌川広重の名所江戸百景です。119枚の錦絵がずらりと並ぶ会場は圧巻でした。時間の関係で流し見になってしまったのですが春夏秋冬をおりまぜて江戸の名所が描かれています。色鮮やかで実に美しかったです。
友人とあーだこうだと現在の東京と比べながらの鑑賞はとても楽しかったです。