三遊亭圓朝の幽霊画

谷中にやってきました。谷中にはいつか見てみたいと思っていたものがあります。
それは三遊亭圓朝がコレクションをした幽霊画。谷中の全生庵さんに保管されており、毎年8月1日から31日まで虫干しされるので見ることができるのです。
そんなわけでいざ谷中へ。

じりじりと照る太陽とセミの声を聞きながら上野から谷中に向かいます。しばらく歩くとお寺がたくさん見えてきてその中に全生庵があります。
全生庵HP 
http://www.theway.jp/zen/html/main/indextop.html
HP内の所蔵幽霊画のギャラリーが圧巻です。

まずは境内裏手の圓朝師匠のお墓参りに行きます。8月5日に盛大に圓朝まつりが行われたそうで賑やかだったとか。立派なお墓ですね。
 
本堂脇の宝物殿にて公開されているので早速向かいます。
拝観料は500円。
中に入ると大きな掛け軸がたくさんかかっています。20数点以上あるのですがどれも幽霊ばかり。調度、先客が三人いたので心強いです。
有名な絵師から無名の絵師までの幽霊画を順に見ていきます。幽霊の概念っていろんな解釈があると思うのですが、足がない幽霊の元祖が応挙と言われています。その絵が目の前にあって感動。美しい女性の幽霊ですが、応挙の描くふくよかな女性なので怖いという感じはしません。ホント綺麗だなぁ。でも家にあったら毎日見てしまいそうで骨抜きにされてしまいそうです。
ここには私の幽霊への畏怖の原点というべき幽霊画も2点あったのでこちらも今回30年以上の年月を経て対面です。飯島光峨のやせこけて青白い頭だけがやたら大きな幽霊画と雪翁の月下幽霊図、こちらもやせこけている幽霊で彼岸花の赤とのコントラストが見事が一枚です。どちらも何かの本に掲載されていたのを見て見事なトラウマになりました。
ホンモノを見ての感想としては静かに怖いです。益々トラウマが強くなりました(笑)

そして、もう一枚は伊藤晴雨の描いた怪談乳房榎からの一枚です。鬼気迫る幽霊とすやすやと眠る生きた子供の生と死のコントラストが見事でこれも画集で見て以来みたいと思っていたものです。思ったとおりの素晴らしさで、伊藤晴雨の画力の高さがうかがい知れる一枚でした。

他の展示の絵も素晴らしいものばかりです。
そして、この宝物殿の雰囲気もまたいいのです。床がぎしぎしとなるのですね。ちょっと背後から音が共鳴したりしてドキリとします。先に見ていたかたが帰られて友人と二人だけになってもまだ何人かいるような気持ちがしたものです。
友人が幽霊画を見ていて気がついたそうなんですが、死んだときの装束は左前になるはずなのに幽霊画はみな右前になっているのが不思議だったそうです。友人が調度浴衣を着ていたので見せてもらうと確かに幽霊も同じ右前。幽霊になっても絵の中で生き続けるように絵師たちが右前にしたのでしょうか?
それじゃーたまには出てきてもおかしくないよね・・・
やっぱり困ります(笑)                  お後がよろしいようで。