笑い閻魔 円応寺

昼飯も食わずに来たかった場所はここです。
建長寺から歩いてすぐの向かい側の高台にあるお寺、円応寺。

拝観が4時までだったので大ダッシュしてきました。

入り口で200円支払って閻魔堂に入ります。
ここは閻魔大王を本尊として1250年に建立されたお寺です。
祭っているのは十王、亡者が冥界(地獄)で出会い生前の裁きを受ける十王がいます。

本尊の閻魔像は本当に大きい、大きい、座っている坐像ですが、2mくらいあるでしょうか。運慶の作と言われています。九死に一生を得た運慶がうれしさのあまり、笑いながら彫ったので閻魔像が迫力があって怖いのに笑っているように見えることから笑い閻魔といわれています。顔が身体よりも妙に大きいので3頭身か4頭身に見えるのもユーモラスさをかもし出してる原因ではないかと。怖いけれど笑ってしまうのですね。

この閻魔像を中心に左右に木像の十王が並んでいるのです。十王の他には地蔵菩薩と脱衣婆。中に入ってみてすぐに思い出したのですが、30年前とまったく変わっていません。子供の頃、ここの十王像を見るのが大好きでした。1m30,40cmほどの高さの台座をぐるりと見上げてみるシチュエーションが面白かったのだと思います。真ん中の閻魔大王も十王達もどことなくユーモラスなんだけれど、やっぱり怖くて写実的でカッコ良いので何度も何度も親にねだって鎌倉に来たときはつれてきてもらいました。元々横浜出身なので鎌倉は遠足の場所でもあり、休日の遊びどころでもあった懐かしい思い出の場所でもあります。

子供の頃は見上げて見ていた十王像たちも今は台座に腕を置いてひじをつきながらじっくりと見ることができます。目線は随分と変わったのだけれど十王達は皆、変わらない憤怒の形相で座っています。脱衣婆、子供の頃は三途の婆と呼んでましたが、水木しげるの砂かけばばあにどこか似ているんですよこれが。薄暗いお堂の中ではかなり怖い雰囲気になっていてこれも非常に印象に残っていました。やっぱり砂かけばばあでした。

20分ほど懐かしい記憶を楽しみながら、他に誰もいなかったのでのんびりと拝観をさせていただきました。
思い返せば、仏像に興味を持った一番初めのとっかりがこの円応寺の閻魔像と十王、脱衣婆だったわけですから、今回の北鎌倉探訪は浄智寺澁澤龍彦のお墓参りといい、今の自分のルーツをたどるような散策となりました。