暴走老人

図書館で予約11人待ちの末にやってきました。

暴走老人!

暴走老人!

ニュースを見ていて高齢者がおこす事件が多くなったなぁと思っていました。でも考えてみたら私が子供のころよりも子供は減り確実に高齢者が多くなってきているという事実があります。寿命も延びているし、まさに高齢者社会になるつつあるこの日本では高齢者が人口の多数を占めてきていると考えれば事件も統計的に多くなるのかなぁとも思えます。人数が多くなればおのずと目に付くのでしょうね。

昼間の郵便局や総合病院、スーパーなどに行くと高齢者がたくさんいます。ホントいっぱいなんですよね。こういう場面に出くわす時にリアルに日本は高齢化社会なんだと実感をします。
しかし、高齢者が増えてきたのはいいとして、おこす事件の質が今までと違ってきているのではないかと思います。老人、大人、という分別があるであろうという人たちがするとは思えない暴力的かつ突拍子もない非常識な事件が多くなっています。
そして、高齢者が街中や電車、バスなどの公共機関や公共施設などでも怒鳴ったり暴れたりするのを見たことがある人も多いかと思います。得てして男性が多いですが、この本では書かれていませんでしたがキレる高齢者の女性も多くなってきていると思います。こちらもお元気というレベルでは済まないことも多々です。そんな高齢者を作者は「暴走老人」と名づけました。

この本は事例を踏まえて加速する現代社会に取り残されてゆくひずみとして生まれた50代から70代の新老人達のキレる原因を解き明かしていこうとしています。

情報化社会の中で社会から取り残されていく新老人たちはこれからもどんどん増えていきます。ケータイ、パソコンなどが扱えるのが前提で社会が動き出している現代、それが出来なかったりした場合には難民状態です。銀行などのATMなどの操作も窓口の人員削減により利用者が当たり前にしなくてはいけませんが、それが出来ない人がいるという前提にはたってないんですよね。わからずに聞けば一回教えるからやりなさいと突き放されてしまう。ものを聞く時になんでわからないのだという態度を取られるのは非常に自尊心を下げらます。今の社会のデジタル化があまりにも加速しすぎで出来て当たり前という部分で切り捨てられた新老人たちはジレンマとストレスを感じキレてしまうのかもしれません。
そんな社会ストレスが事件を起こしてしまう背景なのだと思います。

この本は決して老人批判でもなんでもなくてどうしてキレてしまうのかという社会背景を読み解こうとしている作品です。決して暴走している老人を糾弾しているわけではないのでそういう部分を期待していると結構、結末ががっかりしてしまうかも知れません。

でもね、思うんです。
いずれ私だって後何十年かすれば、年寄りになります。
そのときに加速する情報社会についていけるのか、デジタル機器やモバイルなどを使いこなせているのか?(今だって危ういのに・・)それが出来なくてどこに行っても疎外感とストレスを感じたら、ちょっと入ったお店で少しだけ不快な思いをしても今までのストレスを吐き出すようにゴジラ放射能のように怒ってしまうかもしれません・・・・。これは絶対にないとは言えないんですよね。
暴走老人の立場に立って考えるとまたこの本が面白く興味深くなると思います。