芳年・芳幾の錦絵新聞

日曜日に千葉県千葉市にある千葉市美術館にて芳年と芳幾の展覧会があると聞き行ってきました。
開催期間は1月12日から3月2日まで
入場料は常設展扱いでなんと破格の200円です。
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2008/0112_2/0112_2.html
今回の展示は江戸時代が終焉を迎え、明治の世となったときに作られた錦絵新聞「東京日日新聞」(芳幾の作品)114点と「郵便報知新聞」(芳年の作品)62点、計176点という大ボリュームのラインナップでした。

錦絵新聞はセンセーショナルな事件を題材にしてあるのでこの二人の浮世絵師たちの本領発揮という感。色合いがとても良かったです。
浮世絵独自のデフォルメが生かされていて実に見事に出来事の一場面を切り取って描かれています。
明治時代の事件というのもほのぼのから背筋の寒くなるものまでいろんなものがあって興味深く面白かったです。たとえば、神社の火消しを手伝った力士のお手柄記事、妖怪に出会ったことや狐に化かされたことや幽霊などの因縁や呪いの話。
男女の痴情のもつれによる凄惨な殺人事件や墓場の死体を暴いて死淫した男の話など猟奇的な事件などなどあきさせない事件のオンパレードでした。彰義隊などの記事があったのは幕末の名残を感じました。

当時、芳幾と芳年は血みどろ絵で知られた『英名二十八衆句』とうい錦絵の競作で無残で凄惨な事件を生生しく描くことで知られていました。この二人の描いた当時の事件。まさに真に迫るようなもので圧巻と迫力で迫ってきます。
芳幾の血みどろ絵もなかなかですが、やはり月岡芳年の血みどろ具合はぞくぞくするような描写と血のはじけ具合が合い重なりなんとも言えない凄みをたたえていて良かったです。
「奥州安達が原ひとつの家」でも発揮されている芳年の描く赤という色は美しいです。時代のあだ花のように咲き乱れています。

なかなか展示の機会がない錦絵新聞とても楽しく拝見できました。
日曜日に行ったのですが、来場者は10人にも見たない少なさ。のんびりとそしてじっくりと作品を堪能できました。

この展覧会を記念した画集も発売されています。
展示で理解出来なかった旧字の記事の現代訳と解説付きでありがたいものだったので買い求めました。価格も割引になってました。ありがたや家宝にします。

文明開化の錦絵新聞―東京日々新聞・郵便報知新聞全作品

文明開化の錦絵新聞―東京日々新聞・郵便報知新聞全作品