エリザベス・ゴールデン・エイジ

1998年に公開された「エリザベス」の続編映画です。

エリザベス [DVD]

映画館では観る事は出来なかったのですが、レンタルビデオで観て素晴らしい映像美に感動した想い出があります。特に主演のエリザベス1世を演じるケイト・ブランシェットの気品と美しさはバージン・クイーンの名に恥じない素晴らしいものでした。

前作のエリザベスはエリザベスがイギリスの女王に即位するところで終わっています。今回は即位後のイギリスを統治するエリザベス1世の物語です。
エリザベス・ゴールデン・エイジ　公式HP
http://www.elizabeth-goldenage.jp/

主役のエリザベス1世も前作と同じ、ケイト・ブランシェットが演じています。前作よりも年齢を経て更に凄みを増した気品と力強さと美しさです。
史劇での楽しみのひとつでもある衣装も素晴らしいです。女性のドレスも素晴らしいですが、男性達の衣装も素晴らしい。特にスペイン王の側近達、スペイン大使たちの衣装は黒を基調としてカッコいい。まるでベラスケスの絵から飛び出てきたようです。
対するイングランド側はウォルター・ローリーの衣装がこれまたワイルドで素晴らしいです。

もちろん今回もエリザベス女王のドレスはきらびやかであり、華やかでありそして気品があります。エリザベス女王が当時でも背が高かったそうですからキュッと絞ったウエストで颯爽と着こなしているケイト・ブランシェットはまさにはまり役といえるでしょう。クールな雰囲気、触れてはいけないような気高さが際立っています。
そんな女王の侍女につくのがもうひとりのエリザベス（ベス）。後に女王が愛したウォルター・ローリーと秘密結婚をして子供をもうけるのですが彼女は実に女性的な柔らかさ、母性に溢れている雰囲気で対照的なんですね。

エリザベスの従妹で幽閉されているスコットランド女王、メアリ・スチュアートも実に女性的でそして女であるために愛ゆえに生きたために人生を翻弄されて最後にはエリザベス1世の命により処刑人により首を斬られその生涯を終えます。
しかし、メアリ・スチュアートの処刑はカトリック教を信望するスペイン王のフェリペ2世のわなだったのです。イギリスを攻撃する大儀名分として・・・今回の映画の底辺には当時あったカトリック対プロテスタントという宗教戦争が土台となっています。こうしてプロテスタント教のイギリスとカトリック教のスペインとの大戦争が始まり、大いなる敵の前にエリザベス1世率いるイギリスが果敢に立ち向かってゆきます。

スペインの無敵艦隊との海戦シーンなどは息もつけないほどの緊迫感と迫力でした。
そして全ての戦いが終わった後に、穏やかな結末となります。
最後のシーンは本当に穏やかでそして美しいです。
史劇が好きな方は必見の映画だと思います。凄く面白かった。

昨年の2月には調度「マリー・アントワネット」http://d.hatena.ne.jp/monksiiru/20070201
を観ていたのですが、内容は嫌いではないんですが、史劇の楽しみのひとつであるダイナミックさに欠けていて消化不良だったのですが、この「エリザベス・ゴールデン・エイジ」はまさに史劇映画の王道でした。こういう映画が好きなんです。

稀代の衣装道楽といわれ2000着のドレスをもっていたといわれるエリザベス1世のドレスを見ているだけでも楽しいです。

エリザベス1世とメアリ・スチュアートの二人の女王の人生を
読むにはこの一冊がおススメです。

世界悪女物語 文春文庫

HPで見るにはこちら　
http://wiki.draconia.jp/index.php?%C0%A4%B3%A6%B0%AD%BD%F7%CA%AA%B8%EC
エリザベス1世、メアリ・スチュアートの項目をクリック。

澁澤龍彦の名著で大好きな一冊なのですが、メアリ・スチュアートが大好きになったエピソードとして、メアリが処刑されるときに黒の装束を上着に着ていて、処刑台にあがり上着をパッと脱ぐと赤の下着（ワンピースのような服です）が現れ人々の目をひいたというものがあるのですが、この視覚的効果のある描写も映画の中できちんと再現されていたのは非常に嬉しかったです。

愛に翻弄されながらも最後は女王として気高く首を斬られたメアリ・スチュアートは自分に正直な生き方だったのでしょう。しかし、大きな国を統治するにはやはりそんな人間的な部分は自分の地位を失うものでしかなかったというのは哀しいですね。