熊谷探訪番外編 嵐山町の鬼鎮神社

私は鬼にまつわる話が大好きでして、埼玉に鬼を祀る珍しい神社があると聞いて行ってきました。確か季刊誌「怪」に鬼特集で掲載されていたはずです。
HP 怪 妖怪データベースの中の関東の中に鬼鎮神社のことが紹介されています。
http://www.kwai.org/old/database/main.html

鬼鎮神社(キヂンジンジャ)
住所 埼玉県比企郡嵐山町川島1898
最寄駅 東武東上線 武蔵嵐山駅より徒歩11分
創建 800年前
ご祭神 衝立船戸神(ツキタツフナドノカミ)、八衢比古命(ヤチマタヒコノミコト)、八衢比売命(ヤチマタヒメノミコト)
主神の衝立船戸神伊邪那岐命が黄泉の国を訪れたときに、持っていた杖を投げ出した時に杖から生まれたのだそうです。そこから家内安全、商売繁盛、交通安全、病気平癒、厄除方位除、必勝の神、受験の神様として信仰を集めています。
鳥居

狛犬 深緑色のブロンズ製の狛犬です。

本殿


この神社は節分祭が有名で「鬼は内、福はうち、悪魔外」と言って鬼が氏子たちに豆をぶつけるのだそうです。当日には今年は2万人もの人がこの掛け声を連呼して大賑わいだったそうです。
他では鬼は退治されてしまうのですが、ここでは鬼のお祭りなんですね。そんなわけで、鬼鎮神社は鬼を祀る大変珍しい神社なのです。

どうして鬼を祀ることになったのかというと由緒書きによると、その昔、畠山重忠公が造営した菅谷城があり、その鬼門除けの守護神として建立されたといわれています。
もうひとつには嵐山町にはこんな伝説が伝わっています。
昔、この地に刀鍛治が住んでいたそうです。ある日一人の若者が弟子にしてほしと訪ねてきて、弟子にします。若者は熱心に修行をしてある日、刀鍛治の一人娘を嫁に欲しいと言いました。刀鍛治は一晩で100本の刀を売ったら嫁にやろうという条件を出すと若者は一心不乱に刀を打ちます。その姿はさながら鬼の様相で若者は鬼と変化していました。次々に出来上がる刀を見てこりゃいかんと思い、刀鍛治は夜明け前に雄鶏を鳴かせて夜明けとだまします。やがて夜が明けると鬼になった若者は99本の刀を打ち終えて死んでいました。
その姿を哀れに思った刀鍛治が神社の境内に遺骸を埋めてもらい、お宮をつくり祀ったのが始まりと言われているそうです。

そんなわけで鬼さんこちらというわけでいたるところに鬼がいっぱいです。

拝殿前の額に二匹の赤鬼青鬼がお出迎え

絵馬も鬼

屋根の上からは鬼瓦

大願成就の奉納は鬼の金棒を奉納するそうです。持ってみたら凄く重いです。
鬼に金棒にちなんでいるのだそうです。

・ ・・とぷらぷらと境内を参拝しながら見て回っていたら、宮司さんに声をかけられて、なんと拝殿の間に入れてもらってしまいました。

立派な拝殿です。

上の額は有栖宮さまの直筆文字を金で装飾した立派なもの。

中には大きな奉納絵馬がいっぱいあります。
慶応時代の大絵馬。

ほかにも古い絵馬がいくつかありました。

そしてその中で珍しい馬の絵馬を一枚発見。競馬の馬主さんからの奉納のものだそうです。漆で出来た贅沢なつくりの奉納絵馬で写実的な馬と騎手の絵が描いてあります。こちらの神社は勝負事にご利益があるといわれています。祈願した方が所有するサニーブライアンという競走馬が97年の皐月賞日本ダービーの二冠を制して優勝し大願成就されたので奉納されたのだそうです。


そんな必勝の神様のご利益にあやかりたいと私も鬼に金棒にちなんで作られた金棒のお守りを授与してもらいました。
他は袋に入ったお守りも。絵馬もこれまた赤鬼青鬼のデザインが可愛いので自宅に飾っています。

嵐山町にある鬼の神社、雰囲気のよいお宮で来年の節分にはまた是非来てみたいと思いました。