奇想の江戸挿絵と怖い絵
以前見たNHKの爆笑問題がエスコート役の番組に辻惟雄(つじのぶお)さんが出ていたのをたまたま見ました。面白い美術作品の紹介をしていました。伊藤若冲や曾我蕭白などなど、作者の不思議なエネルギーがこれでもかとほとばしるような上手いのだけれど、ちょっと変わった面白い絵の数々でとても興味を持ちました。そんな絵を「奇想」と呼んでいるそうで、この番組を見終わってから、辻惟雄さんの著書、「奇想の系譜」「奇想の図譜」読んであまりの面白さにすっかり大ファンになってしまったのでした。私はこういう目線の面白い変わった絵などが大好きです。
そんな、奇想シリーズの最新刊が出たので図書館で借りてきました。
- 作者: 辻惟雄
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 新書
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200年前に描かれた、北斎・豊国らの挿絵から選りすぐった、驚異の世界!図版100点掲載
「ギョッとする迫力、ハッとする新しさ!」
江戸時代にたくさん出た読本の挿絵の紹介です。作者は南総里見八犬伝の曲亭馬琴など、描いたのは葛飾北斎を筆頭に有名、無名の浮世絵たちです。読本の挿絵なので墨一色で描かれています。そこが凄くいいです。
物語を読んでいて、ここ一番という場面が挿絵として描かれているので実に臨場感があります。墨一色の表現方法などは現代のマンガにも通じる部分があって非常に興味深いです。
物語は冒険ものの他に怖い物語なども人気があったようで、グロテスクな血の場面なども多く、紹介された中には地獄、生首、幽霊、妖怪などの挿絵も紹介されており、挿絵だけを見ても実に楽しかったです。
第2章の生首の参考図版でポール・ドラロッシュ「レディ・ジェイン・グレイの処刑」が載っていました。この絵は怖いです。
- 作者: 中野京子
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2008/04/05
- メディア: 単行本
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前作の「怖い絵」もとても面白かったのですが、一枚の絵をミステリー小説のように読み解いているて実に面白いです。
こちらにも怖い絵としてポール・ドラロッシュ「レディ・ジェイン・グレイの処刑」が紹介されていました。
西洋の挿絵画家といえばビアズリーなんですが、サロメの一枚が紹介されています。ビアズリーは北斎漫画などを見ていて影響を受けているそうです。無駄の無い白黒の線、グロテスク、日本の挿絵がルーツになっているのだと考えるとまたまた鑑賞が楽しくなりますね。
水曜日に行った東京国立博物館、表慶館での展覧会
日仏交流150 周年記念 オルセー美術館コレクション特別展
フランスが夢見た日本―陶器に写した北斎、広重
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=01&event_id=5558
では北斎漫画の展示もありました。あらためてみてもやはり北斎はスゴイと感じます。
ちなみに冒頭の番組で好きな現代漫画家は誰という問いに辻惟雄さんは谷岡ヤスジと言ったので頭にか鼻血ブーが頭に浮かんで笑い転げました。谷岡ヤスジのマンガって、実にマンガらしいマンガで面白くて私もとても好きです。