薬菜飯店

寒い冬がやってきました。
汗をかかなくなってくるこの季節、どーも身体が重く感じられます。真夏にはたくさん汗をかいていたので夏の方が身体が軽かったような。
蓄積されている老廃物を感じる季節になりました。

汗をかいていると思うこと、身体の中の汚いものがいっそのこと蛇口ひねるみたいに全部出てくりゃいいのに。
デトックスという言葉が世間で言われていたときにそういうえば昔、そんな話を読んだことがあったっけ?思ったことがありました。そして、記憶をたどりやっとその原点が見つかりました。

薬菜飯店 (新潮文庫)

薬菜飯店 (新潮文庫)

あなたをこれまで決して味わった事のない爽快な体験に案内する、究極の料理小説「薬菜飯店」。不思議な味わいの川端賞受賞作「ヨッパ谷への降下」や懐かしい味わいの「秒読み」、ファミコンの悪魔が子供に憑依する「偽魔王」など傑作短編6編。それに「サラダ記念日」を本歌どりした過激なパロディ短歌「カラダ記念日」を収録。鬼才が腕によりをかけた短編特別メニュー。

タイトルの薬菜飯店がその原点でした。神戸にある中国料理店「薬菜飯店」で食事をした男の話です。薬菜というだけあって薬膳中華のお店。店には素晴らしい料理を作る店主と可愛い娘がいて出してくれる料理を食べるとメニューに書いてあったとおりに身体の悪いものがどんどん排泄されていきます。リアリティある下品な描写がこれまたたまりません。下品なのに読んでいてこっちもところがどんどん排泄されていくような気持ちになっていき、物語の主人公もすっかり健康になっていたという羨ましいばかりの話なのです。特に肺から出てくるバケツ一杯の真っ黒なタールの塊にはリアル感がありました。体中の悪いものがどんどん排泄されていくので筒井康隆のお得意の下品描写も生々しくそのリアリティが清清しく感じられるから不思議です。まさに読んで爽快感が溢れます。
ホントこんなお店があったら私も行きたいですねぇ。

この小説は昭和62年発表なのですけれど時代の先取りをしているなぁと筒井康隆の目の付け所にしみじみと感心をしてしまいます。