狭山市立博物館と西浄寺のねずみの図

休みの日に引っ越してきてから行きたかった狭山市立博物館に行ってきました。
自衛隊入間基地の程近くの県営稲荷山公園内にあります。
http://www.city.sayama.saitama.jp/museum/

洗練された建物です。

中にはいると、狭山市の笹井ダムで昭和60年代に発見された日本のゾウ、アケボノゾウ君の復元模型がおでむええをしてくれます。アケボノゾウはインド象よりももう少し小さいゾウだったそうです。このゾウさんなら是非一匹飼ってみたいと思う愛らしさです。
展示室内部は撮影禁止だったので写真は取れなかったのですが、太古から近代までの狭山の歴史が標本や復元模型などでわかりやすく展示してあります。
展示品の中にアケボノゾウの復元骨格標本もありました。
職員さんがいたのでお話を聞くと、骨格化石は発掘された74点のうち3点を狭山市立博物館が保有し、71点を発掘調査を行った埼玉県立自然史博物館が保有しているそうです。
夏にいった埼玉県自然史博物館http://d.hatena.ne.jp/monksiiru/20080928に大部分が行ってしまっているのですね。
そんなバラバラになった骨格化石ですが、昨年に狭山市立博物館にて化石展を行ったときに自然史博物館から里帰りをして狭山市所蔵の3点ともに組み合わせて展示をされたとか。まさに感動の再開。パレオパラドキシアの骨格化石も一緒に来たそうです。見たかったなぁ。

展示室には神社仏閣などの狭山市文化財の紹介も非常に多くてまた新しい探訪のヒントがたくさんみつかりました。
展示室を出て、ロビーに行くとビデオがあって「狭山の歴史散歩」なるいくつかの地域に分けての文化財、史跡の紹介ビデオがあったので何気なく見ていると・・・・

柏原にある西浄寺にある「ねずみの図」は河鍋暁斎作・・・
きょうさい?きょうさい??  河鍋暁斎!!
全くのノーマークだったのでびっくり。この狭山に暁斎の作品があるというのです。

そんなわけで翌日、柏原にある西浄寺さんに行ってきました。

大黒天をご本尊にした真言宗のお寺さんで、60日に一度の甲子の日に護摩焚き法要をする甲子祭が行われているそうです。奉納絵馬も大黒信仰の厚さを伺う力作ばかり。一文銭を大黒天の文字にしたりしてユニークなものが多いです。

調度、お寺の方が本堂前にいらっしゃったので本堂に入れていただきました。

中は護摩焚き法要が行われているだけあって黒い煤のいい色合いです。
そしてわかったのですが・・・こちら西浄寺さんには「ねずみの図」がないのだそうです。
ねずみの図を書いた額は木製のもので長い年月を経てかなり色が退色、煤にまみれていたそうです。復元作業をして中から出てきた絵は鮮やかな色合いの躍動感溢れるウサギたちが打出の小槌を作っている擬人画だったのですが、お寺では保管が難しいとのことで12年前に狭山市立博物館に寄託したのだそうです。
ただ、傷みが激しいとの事から常設展示にはしていないのだとか。今年のお正月はネズミ年にちなんで公開をしたそうです。またいつか見られる機会があること願っています。

本堂に額の写真がありました。動物を描かせてもやはり暁斎は上手いですねぇ。
実際の大きさは縦70cm横210cmの大きさで奉納した人たちの名前などが書いてある右横に暁斎が描いたのだそうです。ねずみ達が大黒様の持物の打ち出の小槌を作っている場面なんだそうです。

そして、暁斎はなんと西浄寺の本山の湯島霊雲寺で得度しているそうで坊さんの資格も取得していたのだとか。
そんな縁もあり度々逗留をしていたそうです。こちらのねずみの図だけでなく、現存するいくつかの家にも描いた作品が残っているそうで家宝としてるお宅もあるそうです。羨ましい。お酒が入ると乗りにのって絵を描いたという逸話も残っていて実に暁斎らしいエピソードで思わずくすりと笑ってしまいました。

三月にまた護摩焚き法要があるそうなので立ち寄ってみようと思っています。
しかし、引っ越してきた場所が暁斎ゆかりの場所だったとは本当にビックリ。
お寺の方が「ご縁があってこちらに来たようですね」と言われて暁斎に呼ばれてきたのかと妙に納得してしまったのでした。
暁斎ファン冥利に尽きるご縁に乾杯。