三陸の塩干し鮭

先日岩手の友より、新巻鮭食べる?という素敵な問いがあったので「もちろん食べる」ということで二つ返事でオッケーをしました。
数日後やってきたのは、岩手の農産物の中に埋もれ紐にくくられた鮭が半身でありました。
ちなみに常温で送ってきてあります。最近あるチリ産などの脂たっぷしのメタボ鮭や塩を降っただけの降り塩甘鮭ならば直ぐに腐ってしまうでしょうが、この新巻き鮭はびくともしません。というか堅いんですわ。凶器というぐらいの堅さに干し揚げてあるんですね、減塩ブームなんて吹っ飛ぶくらいの大量の塩とともに。
おまけに凶暴そうな鮭の頭もくっついてきました。玄関に飾っておけば魔除けになるような凶暴な顔です。荒れくる海を泳いできたぜというまさに漢のような顔つき。
この塩干し鮭を見ていて何かに似てるなぁと思ったら高橋由一の「鮭図」でした。
鮭図といい、豆腐といい
http://www.konpira.or.jp/museum/yuichi/works/tohu.html
この人が描く食い物は全て美味そうです。
なんてことを思いながら、出刃包丁で筒切りにして、早速グリルで焼いてみました。
よく焼いて、ほぐして食べたら、昔に食べたしょっからい鮭の味が口いっぱいに広がりました。減塩文化に逆らってこのしょっからさはまさに保存食というべき塩辛さであり、その塩辛さで長期保存をされた味が旨味なんですね。
おにぎりの具にしたら涙者の美味さでした。ハラミのあたりは鮭茶漬けにしてみてうまぁ♪
凶暴な頭もオブジェにしてはもったいないので食べました。友人に教えてもらった調理法にて調理。頭を焼いて出刃包丁で粉砕、大根おろしと酢で煮るというもの。
煮るのは圧力鍋を使って8分ほどで加熱してから蓋を開けたら見事にカチカチの頭が柔らかくなって塩気も良い感じのアラ煮になっていました。
大根おろしと酢・・・そして鮭といえば、栃木、茨城の郷土食、初午に食べる「しもつかれhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%82%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%82%8Cがありますが、実に理にかなった調理法だったんですね。

減塩ブームによって本来塩気があるべきものまで塩抜きされてしまっていて、保存食が保存食ではない昨今、こんなまっとうな塩鮭がまだあるんだなぁと妙に感動したのでした。