水族館ナイト3

もうすぐ夏が到来します。その手前の梅雨がきそうな陽気に素敵な暑気払いイベントに行ってきました。
お台場の東京カルチャーカルチャーにて行われるトークイベント、題して
中村元の水族館ナイト3〜やっぱり個性でしょ〜」
このイベントは1.2回も参加していますが、期待を裏切りません。というか益々ヒートアップしまくり。会場のお客さんも満員御礼です。


今回はあのクラゲで有名な山形県鶴岡市加茂水族館の村上館長も参加の豪華トークライブとなりました。
今回のテーマは「個性」。第一部は中村元先生とまんじまるさん、テリー植田さんの三人で個性を絡めたトークが展開しました。この三人も充分個性的ですね。

個性という言葉をキーワードに中村ワールド展開の進化論が炸裂します。キリンはどうして首が伸びたのか、そしてそれ以上伸びないのはどうしてか?サメが進化をしないのはどうしてなのか?進化過程は個性で進化が終わったものはもう個性(進化)を伸ばさないでよいというわけです。キリンはえさを高いところに食べる長い首があるからもう個性を伸ばさなくてよいし、サメは太古の時代に海中で敵がなくなったから今以上に個性を延ばす必要が無い。これ以上個性を伸ばす(進化)するには種としての莫大なリスクを背負うから太古のままから来ていると。なのである意味努力もしないということになるわけですね。
逆にイルカなどは犬や猫などの陸上哺乳類の先祖が陸から海中に逃げたために生まれた進化生物であるんじゃないかなぁというお話は実に面白い中にもなるほどと思えることがたくさんありました。

結論としては弱者こそ個性を活かせるということなんですね。
弱者というのはどこにでもいます。そんな弱者の個性を水族館を例えての話になりました。
中村先生もトレーナーとしていらした鳥羽水族館のほど近くの伊勢市にある二見シーパラダイス、ここは海獣たちのプールも今時タイル張りという古さと狭さの水族館です。もちろん予算なんかないわけで、そこでトレーナーの皆さんが考えたのが、プールが無ければ外にだしてやろうということで敷地の真ん中の広場ににブルーシートを敷いて海獣ショーをやったそうです。苦肉の策で考え出された海獣ショーは身近で見られる、海獣に触れ合うことが出来るという個性を持ち、たちまち大人気になったという。まさに状況、環境の弱者が個性を持って生き返ったという良い例ですね。
「今いる状況、環境で何が出来るか」をしっかりと見据えて考えると思いもよらない結果が出るという話には自分の実生活にもとても当てはまるテーマでいろんなことを考えさせられました。
そして、第一部は無事に終了、第二部に突入です。
加茂水族館の村上館長さんが登場です。
ここも二見シーパラダイスと同じく、かつては弱者の水族館でした。
しかし、ある日たまたま水槽にぷらぷらしていた、クラゲの子供を副館長さんが発見。増やしてみようかと思って増やしたら見事に増殖。
その後、クラゲに特化した個性的な水族館に展開をして行ったそうなんですね。


この加茂水族館のスゴイところが、はじめはクラゲを保存する冷蔵室もなかったので家庭用冷蔵庫を使い、顕微鏡もなかったのでビーカーを見て「多分いるだろう」という信念のもとあきらめることなく育てていったことですね。今では顕微鏡や冷蔵室も出来てとても楽に育てることが出来るようになったそうですが、はじめの一歩がそんな手探りだったとはビックリです。
クラゲで賑わう前の倒産も考えたどん底の来場者数での状況下での再生だったと感慨深そうに館長さんがおっしゃっていたのが印象的でした。

今ではクラゲの数では日本一、いや世界一の展示数を誇る加茂水族館ですが、一躍有名になったのはあのノーベル賞受賞の下村博士の研究にも使われたオワンクラゲを発光させることが出来た唯一の水族館となったことでした。発光方法を知ることができたのは館長が下村博士に出した手紙を博士が読んで直接水族館に電話をくれたからなんだそうです。
世の中どう転ぶかわからないものですねぇ。

加茂水族館の特化はクラゲ展示だけにとどまらずに水族館内にクラゲレストランをオープンまでさせてしまいました。数々の試作品を経てのクラゲ料理はとても美味しいものだそうです。

そしてお土産にも特化。くらげ入りまんじゅう、くらげ入りカステラ焼き、くらげ入り羊羹、そしてクラゲアイス!とクラゲ尽くしのラインナップ。

クラゲも調度、ニュースにもなって増えて困っていたエチゼンクラゲを前面に出して特化。するとマスコミも取材殺到して話題になったそうです。着眼点の素晴らしさと個性の勝利のたまものですね。

今回はなんと会場でくらげ入りまんじゅうとくらげ入りカステラ焼きをご馳走になりました。プチという堅い食感がクラゲだとわかる不思議な食べ物。クラゲ自体には味はないそうなので食感を楽しむそうです。
加茂水族館が個性的になっているのもやはり個性的な村上館長という方がいるからなんでしょうね。こちらのモットーとしては仕事の役割に扉はつけないということらしく、クラゲ定食は経理の方が開発をしたりあるときはラッコにえさやりをしたりなどするそうです。
経費節減にも役立ちますが、なんでも出来る、やれるというのは考えようによっては体験する場を与えてもらえるわけですから、チャンスと考えればスゴイラッキーなことでもありますよね。

専門分野に長けた人も大事ですが、オールマイティに何でも出来る人というのは人間としては素晴らしい個性、特化ですから伸ばして損はありません。
そんな体験を特化するには若い頃からいろんなことを、よいことも悪いことも体験しなさいと村上館長はおっしゃっていました。ちなみに村上館長の今の穏やかなお顔立ちちから想像できないくらい若いときの悪いほうの体験談は山形ならではの自然と交わったスゴイスケールの話でした。

こんな素敵な個性が光っている水族館の未来はこれからも個性的に進化し続けることでしょう。来場者である私たちも個性を持って楽しみたいです。

イベント終了後にクラゲで記憶があったので調べてみたら、友人の動物園、B級SPOT大好き!の管理人、荒川さんが99年と08年に加茂水族館に行かれていました。その時のレポが下記にあります↓
http://www.arakawas.sakura.ne.jp/backn017/kamosui/kamosui1.html
水族館の様子やクラゲアイスやクラゲラーメンも食べていて読み応えのあるレポです。B級スポット探訪にもおススメの場所です。


加茂水族館のHPはこちら
http://www.shonai.ne.jp/kamo/

1.2回のライブレポートは↓です。
2008-10-20 - monksiiru(もんくしーる)の日記
2009-02-22 - monksiiru(もんくしーる)の日記