まるきた伝統空間大宮「昔、あるところ遠野」

先日、大船に行く際に東海道線に乗っていたら目に留まった吊り広告がありました。
懐かしい遠野の早池峰神社の写真。
二年前にレンタカー借りてまで行った遠野の早池峰神社忘れるはずもありません。
懐かしいなぁと思って見ていたら、なんと!大宮駅のイベント会場で遠野の催しがある告知でした。まさに神の啓示。早速、会社を早退して6月27日の土曜日に行ってきました。

イベント名は「まるきた伝統空間」というもので財団法人東日本鉄道文化財団が支援する東日本各地の民俗芸能を紹介する公演で、以前は東京駅丸の内北口ドームで開催されていたため「まるきた伝統空間」と名づけられたそうです。東京駅の駅舎復元工事に伴い、平成13年より場所を大宮駅に移し開催しているんだとか。
スミマセン、大宮駅にあれほど来ていながら今回このイベント私初めて知りました・・・。


二部構成になっていたので二部のはじまる午後5時前の4時半くらいに会場に到着したら2時から開演していた、一部がまだやっていました。たくさんのお客さんが足を止めてみています。平倉神楽という、遠野の上郷町平倉地区に伝承される山伏神楽なんだそうです。
演目は鶴舞(とりまい)です。
 
雅な旋律に優雅に舞う鶴4羽が美しかったです。
そういえば、奉納神楽を舞う早池峰神社の神紋は鶴なんですね。
遠野の人が亡くなると魂が飛んでゆくという早池峰神社
一度だけ訪れたことがありますが、あの場所は特別な場所、神域なんだなぁと肌で感じたことを思い出します。

そして第一部は終了して、お客さんがいなくなったので一番前の畳席に陣取りました。畳席で観られるとは嬉しいです。

午後5時になり、第二部が開始しました。
一番目の披露は「氷口御祝」(すがぐちごいわい)です。
遠野市小友町氷口に江戸末期から歌い継がれている祝いの唄だそうで、男衆の謡曲と女衆の民謡を同時に歌うという非常に珍しいもの。異なる旋律を歌いながら最期は息もぴったりに終わるというものでまさに名人芸の極みでした。
ずらりと並ぶ歌い手のみなさん。
  
最後は「みやこ節」という演目で手拍子を取り賑やかな歌で締めくくりました。

この氷口御祝は姫神の星吉昭さんが紹介をしたことによって一躍注目を浴びたんだとか。

続いての出し物は待ちに待った「遠野の昔話」です。
語り部さんが登場しての昔話と聞いていたのでとても楽しみにしていました。
まずは遠野を代表する語り部、正部家ミヤさんです。
ちょこんと座った優しいお顔のおばあちゃま。なんと、御年86歳。平成9年には天皇陛下、皇后様の前でも昔話を披露したという昔話の第一人者の語り部さんです。
 

この日のお話は「頭の大きな男」というもの。
大きな頭から柿の木が生えてくるという、面白いお話です。
遠野の方言が叙情豊な旋律となって実に耳に心地よいのですねぇ。
終わりの「どんどはれ」の言葉になるのが惜しいくらいいつまでも聞いていたいです。

次はミヤさんが昔話の語り部を指導しているという綾織小学校の生徒さん三人の昔話です。
一人目が続石の話、二人目がオクナイサマの話、三人目がカッパの相撲の話でした。小学生の皆さんの語りも可愛らしくそして素晴らしいものでした。最後に三人で一緒に豆腐とコンニャクの話を披露してくれました。
 

二人目の語り部さんはミヤさんの姪御さんになるという、菊池栄子さんです。なまけものの話、なまけものの上には更に上がいるという面白おかしなお話です。
 

三人目は遠野伝承園にいらっしゃるという佐々木イセさんです。
ザシキワラシのお話でした。このお話は遠野物語17段から21段までに出てくる山口孫左衛門の話で非常に印象に残る話なので興味深く聞き入ってしまいした。
ザシキワラシのいなくなった後が凄く怖い話なんですよぉ。
 

語り部さんは一人ひとりの世界観があり、この文化はいつまでも残して欲しいと切に思いました。小学生の素晴らしい語り部さん達も育っていますからこれからも遠野の昔話は耐えることなく語られてゆくことでしょう。
柳田国男先生もきっと、遠野に赴いたときに囲炉裏はたに座りたくさんの語り部さんの昔話を聞いてあの名作、遠野物語を上梓することが出来たのでしょうね。昔話というのは色あせない魅力を含んだ物語だと改めて感じるひと時でした。
  

舞台セットにはなんとオシラサマもいました。

最後は平倉神楽で締めくくられました。
舞台にはあの、権現様!神意を写した獅子頭を権現様といい、神社の神楽などには良く登場するものです。権現様の顔がなんともユーモラスでとても好きなお顔なんです。
演目はまず五穀舞。
鬼が出てきて、恵比寿が出てきて、稲荷さんも出てくるという実に躍動感のある舞です。
むちゃくちゃカッコいいんです。鬼が乗り移っているかのようなトランス状態の舞に引き込まれてしまいます。
       

そして、四人で舞う剣舞などもあり、激しい動きに合わせての旋律がまた素晴らしい。しばし、口をあけて見とれてしまいました。

続いてはうって変わってのたおやかな天女の舞です。美しい天女が舞い降りてきたかようです。
  

最後は権現様が登場する権現舞です。
神楽の舞の最後に必ず行われる舞なんだそうです。獅子の姿を借りた神様が舞台に舞い降りました。
   
権現様の動きが神がかりでイイです。
    


最後に観客の中で7人、舞台の上で権現様に頭をかんでもらえるというありがたいサプライズがあったので思わず挙手をしてしまい、私も頭噛んでもらいました。
後ろにいた赤ちゃんはビックリして大泣きです(笑)

締めのひと舞を踊り、権現様から神様はお戻りになられて、無事に舞は終了しました。
時間にして第二部は1時間45分以上。贅沢の極みの催しです。本当に楽しい時間を過ごさせてもらいました。

そしてまた、遠野に行きたいなぁと心から思いました。