ますむらひろし 宮澤賢治童話作品集

富士見市図書館には漫画本もたくさん所蔵されています。
懐かしい漫画や一度読んでみたいものが結構あるので最近は半分くらい漫画を借りていました(笑)

ここで見つけたのが、ますむらひろしの漫画作品です。
アタゴオル物語の世界を一度読んでみたかったので、アタゴオル物語、その後に発売されたアタゴオル玉手箱を読んでみました。
ヨネザアド アタゴオルの国のファンタジー溢れる空想の世界がとても素晴らしくて、一気によんでしまいました。
読後感が非常に良いんですねぇ。

アタゴオル玉手箱 (1) (偕成社ファンタジーコミックス)

アタゴオル玉手箱 (1) (偕成社ファンタジーコミックス)

はらっぺらしで無知で大酒のみのネコのヒデヨシとその友達たちとの交流からおこる日常が生き生きとしていて空想の世界なんだけれどもアタゴオルの国にリアリティが出てくるんですねぇ。
アタゴオル物語を私が知ったのは今から20年以上前の高校の現代国語の教科書にアタゴオル物語の一話が載っていたからです。今読んでも全く色あせないこれはスゴイ。

そして、そんなますむらワールドの漫画が他にもたくさんあったので今回読んでみました。
ますむらひろし宮沢賢治の童話を漫画にしています。有名なところでは映画にもなった「銀河鉄道の夜」。これはもう文句なしに素晴らしいです。

しょうもないエピソードとしては当時、私が10歳の頃、銀河鉄道999がアニメ化されて大ブームでした。銀河鉄道999ファンだった私のために父親がある日、本を買ってきてくれました。
箱入りの美しい装丁カバー。群青色の背景に列車の絵。おぉこれは!999の豪華ではないですかと喜んでみてみると・・・・・なんとタイトルは「銀河鉄道の夜」と書いてありました(笑)
しかし、その本を読んでみると一気に引き込まれる幻想的な世界が広がっていてすっかり夢中になって読んでしまいました。その後は自ら図書館などで宮沢賢治の童話を読み漁って今に至ります。
これが私と宮澤賢治の出会いとなったわけで今となっては間違えて本を買ってきた父親に感謝しないといけないですねぇ。

漫画になった宮沢作品は他にもたくさん。
風の又三郎、どんぐりと山猫、猫の事務所、カイロ団長、洞熊学校を卒業した三人、雪渡り、などなど。どれもこれも味わいがあっていいです。

 
風の又三郎―雪渡り・十力の金剛石 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

風の又三郎―雪渡り・十力の金剛石 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

その中にどうしても読みたかった作品が見つかりました。
グスコーブドリの伝記です。10歳の時に買ってもらった銀河鉄道の夜の本に収録されていたのですが、これはもう・・・久々に30年ぶりに読んだのですが見事に泣いてしまいました。イーハトーブを守るために自らの身を犠牲にして火山噴火を防ぐ、グスコーブドリの自己犠牲の精神の気高さに胸を打たれました。

ますむらひろし宮澤賢治の童話作品を漫画にするにあたってセリフなど原作のままを使い、一切余計な着色をしなかったそうです。そんな原作に忠実な作品なので昔、読んだ活字の童話の世界の記憶を違和感なく呼び戻しました。

個人的には、「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」でおなじみの「やまなし」が大好きなのでこれが漫画だったら是非、読んでみたいですねぇ。