刑務所の中 ビューだねビュー

花輪和一の描く漫画にすっかり魅了されてしまったのでやはりこれは読まねばならないだろうと思い読んでみました。

刑務所の中

刑務所の中

調子に乗って

刑務所の前 (第1集) (Big comics special)

刑務所の前 (第1集) (Big comics special)

 
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花輪先生は90年代後半に銃好きが高じて、所有の拳銃を改造したなどの罪で銃刀法違反容疑で警察に逮捕され3年の懲役を受けてしまいました。
その間の獄中生活をありのまま、花輪目線で描いた作品が刑務所の中というわけです。

刑務所というと私たちがイメージするのは刑務官により、24時間分単位で厳しく管理され自由がないという感じで、今まで見てきた刑務所が出てくるドラマや映画もそんな風に作られているのですが、この漫画を読んでいるとなんだか楽しそうだと不謹慎にも思えてしまう素晴らしいゆるさがたまりません。
しっかし、花輪先生の観察力っ物事や人に対して非常に詳細ですごいわぁと改めて関心します。

そんな名作が映画化されているというので、レンタルビデオで借りてきました。

刑務所の中 特別版 [DVD]

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花輪先生の役が山崎努だとパッケージーで見て知り、随分とイメージが違うなぁと思っていたのですが、見てビックリ。はまり役。
同じ雑居房の受刑者たちもお坊ちゃまの香川照之をはじめ個性派ぞろいでまさにビューな配役。
撮影は北海道の網走刑務所博物館の建物を使って撮影したとか。
映画の中でも淡々と刑務所内での受刑者たちの生活が描き出されています。
ドラマティックな出来事は特にないのですが、刑務所内のひとつひとつの日常に妙な感動や発見がある受刑者生活を見ていると、シャバでは見失ったピュアな感性とどこか漂う厭世感に取り込まれてゆき、引き込まれてゆきます。

食べ物のシーンがとにかく多いのが特徴でしょうか。この食べ物が実に美味しそうなんです。映画鑑賞会のときのチョコクッキーのアルフォードとコーラとか、お正月の三が日の朝から晩までのご馳走などなど、食ってばっかりの生活が妙におかしいです。
しかもその回想を語る受刑者の頭の上にふきだしが出て食べ物の映像が見えるくらいに本当に幸せそうな恍惚の表情。
食べ物にこれほどのしあわせを感じる生活というのもある意味、羨ましいのかもしれません。

そして、気がつくのです。
私たちの日常にはたくさんのモノがありふれていてそれを当たり前のように消費して日々をながすかのごとく生きているということを。
「当たり前の幸せ」のありがたさを見失っているということを。

刑務所に入って健康になるといいますが、適度な食事、規則正しい生活、運動これはシャバの人間よりもよっぽど人間的なのかもしれんなぁと思ってしまう自分が怖い(笑)