水木しげるの遠野物語

以前にビックコミックをたまたま読んだら素晴らしい連載があってこの度、文庫化されたと知って早速買ってきました。

座敷童、河童、鬼、活の中から人々の想像力が生み出した妖怪が、今動き始める。妖怪の原点である柳田國男氏の名著を水木しげる氏がコミック化。日本妖怪史上最強の黄金タッグが実現。妖怪の里遠野紀行も併録。


柳田國男遠野物語水木しげるが描いた秀逸の作品です。
子供のころに妖怪本をわくわくしながら読んだときのように一気に読んでしまいました。
昔話を文学にしたという遠野物語の世界の情景が可愛らしい水木キャラたちで蘇っています。作中で水木さんがするっと物語の解説をしてくれるのもまたイイ。

遠野物語が紡ぎだされた遠野は厳しい寒さで、常に死と隣り合わせの生活でした。そんな中で、人々は昔話として伝承してきたのでしょう。
遠野物語で凄いなぁと思うのは物語に語られている人の子孫の方、その家がまだ実在しているということですね。そこがまた不思議な話なんだけれどリアリティを帯びてくるのでしょう。
私が2年前に遠野を訪れたときには実際の妖怪や怪異体験はありませんでしたが、遠野の地の空気がここならばそんなこともあるかもなぁと思わせてしまう素地が今も息づいています。カミや妖怪が人と共存している場所だと思えてしまうのです。

これは伝承館にあるオシラ堂のたくさんのオシラ様たちです。
うねるような人々の願いがなんとも言えない気を発しています。

遠野物語100周年を記念して、作中に出てくる座敷ワラシとカッパが公式キャラクターになったそうです。
春にはリニューアルされる遠野市立博物館にてアニメ上映もされるとか。
この本を読んでまたまた遠野に行きたくなってしまいました。