大人のための怪奇掌篇

何年かに童話やら日本昔話の原文がブームになったことがありました。桐生操が筆頭になっていて残酷話ブームって感じでしたが、その時にたまたま手に取ったのが倉橋由美子さんの「大人のための残酷童話」でした。残酷話については澁澤龍彦の本で洗礼を受けていたのでヘェーという感じで読んだのですがとても面白かったです。
残酷な中にエロスが漂うという風情がとても素敵で日本昔話や世界の童話などをモチーフに繰り広げられる世界は読んでいてとても新鮮でした。

大人のための残酷童話 (新潮文庫)

大人のための残酷童話 (新潮文庫)

昨日読んだのは↓の本です。

大人のための怪奇掌篇

大人のための怪奇掌篇

実話恐怖話とは一線を画する恐怖感とエロスが漂う短編ばかりでとても面白かったです。
キーワードになってくる言葉でギリシャ神話、山海経、オリュンポスの神々、ガリバー旅行記サロメアラビアンナイトなど私の好きなものばかり。しかもそのキーワードから話が広がってゆく倉橋さんのつづる素敵な心地良い文章に酔いしれてしまいました。

この本の中で特に気に入ってしまったのは、「オーグル国渡航記」ガリバー旅行記のその後です。原作を読んでみると更に楽しくなること間違いなしです。

ガリバー旅行記 (お風呂で読む文庫 5)

ガリバー旅行記 (お風呂で読む文庫 5)

そして最終章の「イフリートの復讐」これはアラビアンナイト千一夜物語」の中の一夜分の話をモチーフに恐怖が刻まれてゆきます。

千一夜物語 13冊セット (岩波文庫)

千一夜物語 13冊セット (岩波文庫)

千一夜物語はとても長いので私はとっかかりに
アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

↑の本を読みました。阿刀田高さんはガリバー旅行記についてもわかりやすい本を出されています。
あなたの知らないガリバー旅行記 (新潮文庫)

あなたの知らないガリバー旅行記 (新潮文庫)

阿刀田高さんの小説もとても怖い短編がたくさんあってとても読み応えのあります。

あとがきで昨年、倉橋さんがお亡くなりになったことを知りました。合掌