歴史は俺たちに何を させようとしているのか

これもたまにふと見たくなる映画です。
良くも悪くも1980年公開の角川映画の金字塔的な映画。この頃は「復活の日」といいSF映画ブームでした。

戦国自衛隊 [DVD]

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自衛隊の一小隊が演習中に戦車や武器とともにいきなり戦国時代にタイムスリップしてしまい、長尾平三景虎(のちの上杉謙信)の軍勢に加勢して天下取りを目論む。天下取りは着実と思われる中で仲間同士の謀反、離脱者や戦車やヘリの燃料切れ、仲間の喪失などに陥りやがて破滅への道へと辿るというストーリーです。

映画としては絵に描いたようなアクション娯楽映画で荒唐無稽な話ですが、引き込まれてしまうのです。千葉真一演ずる伊庭大尉と影虎との時代を超えたサムライ魂の絆とか、天下取りよりも自由を生きようとするアウトロー矢野士長たちも実に人間くさくて良いのです。

当時の自衛隊としては自衛隊員が反乱を起こす、同士で殺し合いをする、村を襲う、村娘強奪などをよろしく思わなかったようで協力は一切してもらえなかったそうですが、だからこそここまではちゃめちゃ(失礼)に出来たのは怪我の巧妙ではないかと思います。ゴジラには協力を惜しまない防衛庁なのにねー。
というのも後の「戦国自衛隊1549」が自衛隊協力というバックアップをしてもらったために自衛隊プロモーションビデオになってしまっていたから余計にこの映画は凄いわと感じてしまうのですね。1549は個人的にはサムライの北村一輝が目立っていたので嬉しかったのですが全体的にゃあ消化不良です。本当の戦車を出したりヘリ出したり現役隊員をだしたから深みやリアリティが出るものではないというのまざまざと感じさせてくれたと思いました。

千葉真一はとにかくかっこいいです。さすがJACです。矢野隊員たちを討伐に向かうときにヘリから吊るされて自分が標的となり銃撃戦なんて千葉ちゃんか藤岡弘しか出来ません(倉田さんならなら今もやってくれるかな?)そして、武田信玄の首を討ち取りに行くときの乗馬も見事でタテもアクションも最高!やっぱりアクションスターってこうじゃなくちゃいけないですよね。
相方の影虎もなかなかで城の天守閣で影虎が斬り合いをしている外からヘリがホバリングして援護射撃。ヘリから降ろされたハシゴに乗ってあざ笑うかのように脱出というシーンはまさに名シーンだと思います。あのお城は今は文化財指定されているそうで壊さなくて良かったなと思いますねー。角川映画ってホントスケールがやることが凄かったのです。
JACの一番弟子の真田広之武田信玄の息子勝頼役で離陸中のヘリに飛び乗り、上空から軍旗をトランポリンにして飛び降りるというスタントを見事に演じております。

矢野隊員の役演ずる若き日の渡瀬恒彦はホント眼光鋭くて反抗的にいい感じです。以前、ダウンタウンの番組でイタリアマフィアに力也などの写真見せてどれが日本のマフィアかと言ったら迷わず渡瀬さんを指差していました。いまや温厚なお宮さんか十津川警部ですが、若き日は狂気の若者の役、アウトローが似合う役者さんでかっこよかったのです。ここでもそんなアウトロー隊員として反乱を起こして見事に散っていきます。
笑いどころとしては、この反乱軍にさりげなくいる今や幸楽主人の角野卓造。「俺たちゃキングだ王様だ」ってセリフで爆笑してしまいました。今の姿から想像つかないあばれっぷりです。

そんな風に皆がアクションやらアウトローなどで盛り上げている中でひっそりと戦線を離れていく隊員がおりました。
ムッシュかまやつ演ずる根本隊員。親を殺された子供たちと仲良くなり現代に戻ることなく子供たちの親となることを選び戦国時代に生きることを決めて隊員たちと別れるのです。思わずホロリとさせるひょうひょうとした演技が泣かせます。長髪の自衛隊員という非現実さも吹っ飛ぶ好演技なのです。

そのほかにもたくさんの個性派の役者陣がそろっていてまさに娯楽作品といえるでしょう。シンガーソングライターの高橋研もいるわ、にしきのあきらはいるは自衛隊員の人選もはちゃめちゃです。だからいいのかも・・・。
こういう荒唐無稽なストーリーって今はきっと無理なのでしょうね。
アクション、娯楽、底抜けに楽しめる作品って今こそ望まれると思うのですが。
時代の風雲児と言われた角川春樹社長みたいな単純で壮大な娯楽映画が作れる人が出てくれる時代を望みます。


サウンドトラックもおススメです。

戦国自衛隊

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余談・・・復活の日で多忙撮影中の草刈正雄が正吉という農民役で
「忙しいんだよ・・・」とつぶやきながら走り去るシーンを探すのも
面白いです。ホント忙しかったらしいです。