女帝エカテリーナ

池田理代子先生のマンガというとやはり金字塔の「ベルサイユのばら」がダントツに有名なのですが、今回おススメするこの伝記漫画もおススメです。

女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)

アンリ・トロワイヤの伝記小説を漫画化したのですが、北ドイツの貴族の娘として生まれたゾフィー(後のエカテリーナ二世)が14歳でロシア皇太子妃候補となり、17歳で結婚。たくさんの寵臣を愛し、ロシアの女帝となりその生涯を終えるまでを描いています。

エカテリーナというと別名、色情狂とも言われるほどにオルロフ兄弟、ポチョムキンなど数々の多くの愛人を死ぬ間際まで囲ったことでも有名ですが、ロシアの治世においても美術や学問の部分においてもたくさんの功績を残しています。そんな、ひとつひとつのエピソードを丁寧に描いているのでロシア史を知ることもできるのです。漫画を読みながら歴史の勉強が出来てしまうのですね。

私が買ったのは、中央公論社の愛蔵版の一冊のB5サイズの多きなマンガ本だったのですが、巻末に原作者のアンリ・トロワイヤさんと池田先生の対談が載っていました。
対談の中でエカテリーナーの髪の毛が当時の女性はアップにしていたはずなのにずっと髪の毛を下ろして豊かなロングヘアーで描かれている点が語られていました。アンリさんはその点も池田さんの描く作品の中のエカテリーナの人格のひとつとして全く問題ないというお墨付きをしているのですね。
装飾品や時代考証などはしっかりと取材をされているので実に忠実なのですが、エカテリーナを描くにはこのロングへアーが女性であり、女帝であるという二つ揺れ動く部分をあらわすアイテムとして実に映えていたのだそうです。
史実だけを淡々と描いているのでは面白くありません。
こういうオリジナルの部分や感情表現などがまるでロシアの激動の歴史をエカテリーナ二世と一緒になってみているような気になるくらい引き込まれるのはやはり、天才池田理代子の漫画家として技量なのでしょう。

おまけですが、エカテリーナ二世の生涯は「女帝キャサリン」という映画になっていてキャサリン・ゼタ・ジョーンズが女王を演じましたが、こちらもなかなか面白かったです。こちらはどちらかというと女帝とそれを取り巻く愛人たちの物語となっていますが、黒髪に妖艶なキャサリーン・ゼタ・ジョーンズ、私はこの作品で彼女のファンになりました。実にドレスが似合ってます。

女帝キャサリン [DVD]

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