「コワイ女」VS「叫」

ホラー映画はやはり邦画がいいなぁと思います。秋になるとホラーを見たくなりませんか?とくにこんな秋の雨の日には・・・

コワイ女 通常盤 [DVD]

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3本のオムニバス仕立て話です
「カタカタ」
幽霊ってこんな感じでしょうという姿を見事にビジュアル化しているのが凄いと思いました。幽霊のイメージって女性で長い髪の毛というのは昔から日本人が持っているイメージなのでしょう。そして印象的な真っ赤なドレス。振り返ったときや、気配を感じて天井を見上げたときにお約束どおりにそのイメージの塊がそこにあるというシチュエーションはわかっているんだけれどもやっぱり怖いです。
そんなコワイ女が出てきます。
「鋼」
人っていうのは異形のものをみたときにきっとショックを和らげるために一生懸命理解をストップする作用があるのだと思います。異形でもそれが日常にあるもの思う作用が。鋼というのは主人公の勤める自動車工場の社長の妹の名前なんですが、上半身にむしろかぶっているんです。腰から下はスカートはいて若い女性とわかるいでたち。しかも素晴らしい美脚。なんじゃこれは?と思うのですがこの鋼とデートすることになる主人公。おかしいし怖いんだけれどほのぼのしてしまうのはこの理解作用によるものなのでしょうか?最後は究極の愛が成就されました。三作の中で一番の面白さでした。
鋼の兄役の香川照之の演技がうさんくさくて凄くいいです。

鋼を見て何かに似てるとずっと思っていました。
これだ!「ちょっと通りますよ」
2ちゃんAAでおなじみのあれです↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%A3%E3%81%A8%E9%80%9A%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%82%88


「うけつぐもの」
これは正直言って面白くなかった。二世代に渡る母親の子殺しがテーマになっているので見ていて不快感を感じました。母親が子供の首を絞めるとか最後は本当に殺してしまうというのもなんだか救いがありません。しかも殺す前に一瞬正気に戻って改心したと思わせ子供を呼び寄せてという手口はいかがなものかと。キーワードになる掛け軸の絵が出てくるのですが、これは明らかに月岡芳年の「幽霊図うぶめ」です。後姿で腰巻をした長い髪の女の幽霊の絵なのですが,うぶめは自らが手をかける子殺しをする幽霊ではありませんしねぇ。

一作目の「カタカタ」はわが子をマンションの上階から転落事故で亡くしてしまった母親の幽霊が出てきますが、「うけづぐもの」は子殺しの母親が出てきます。何か意図的に選んだモチーフなのだろうか?と見終わってから思ってしまいました。
結論としては「うけつぐもの」の母親が一番コワイ女です。
何故か見終わってもあの姿にほれてしまってまた見たくなるので「鋼」だけ単体で作った方が面白かったような気がします。または前者2作だけでもう少し話を濃くするとかでも。

叫 プレミアム・エディション [DVD]

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ここにも「コワイ女」で出てきた赤い服の女が(ストーリーも全く関係ありませんが)出てきます。
この赤い服の女がとにかく突拍子もない出方してくるので笑いどころなのか怖がらなくてはいけないのかと出て来るたびに混乱します。
ストーリーはミステリーものなんですが、不可解に進む話で私はちょっと飽きてしまいました。
前編に流れるゆったりした時間間隔や風景(川、埋立地、そこに建つ廃墟の建物)が実に美しいです。室内空間も非常に素敵です。だからなんとなく見てしまって肝心の部分を見落としていたようです(笑)
葉月里緒菜の怪演ぶりを見たい方だけにオススメシマス。まさにこれぞ怖いもの見たさってやつですね。