自虐の詩と空気人形

2007年、今から3年ほど前に書いたブログ2007-02-25 - monksiiru(もんくしーる)の日記

で映画も見たいと書きながら、すっかり忘れていてやっと先日見ました。

業田良家の名作中の名作といわれる泣ける4コマが、実写になると一体どうなるのか。結局はこの映画も最後にはほろりとさせられてしまいました。
幸子役の中谷美紀もいい感じの不幸さ加減で良かったですが、デカいイサオ役の阿部寛がいい演技していて笑えました。そして幸子を愛している気持ちが不器用ながらもひしひしと伝わってきてたまらなくなります。
そして、ツボだったのは大好きな熊本さん!あのサバイバル的なたくましさが一体だれがやるのかと思っていたらアジャ・コングでした。回想部分の中学生のときの子役の女の子がかなりワイルドでいい感じで、うちの相方が大人になったらこの役を受け継ぐのはアジャ・コングしかいないよなぁとつぶやいていたらホントにアジャ・コングでびっくらこきましたw
最後は静かなハッピーエンドで原作とは違うところもありましたが良い消化の仕方をしていたと思いました。

業田良家繋がりでもう1本

空気人形 [DVD]

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主人公のペ・ドゥナが人間には思えないくらいアンドロイド的な美しさで空気人形という役にピッタリ。たどたどしい言葉も人形ぽくて良くて適役でした。
劇中に出てくるラブドールオリエント工業という会社のものです。
実は数年前に友人と二人で上野にあるオリエント工業ショールームに行ったことがあります。ラブドールがたくさん並んでいるショールームだったのですが、どの娘さん(ラブードール)もホントに目を奪われるほど美しくてドキドキしてしまったことを思い出しました。シリコン製でまさに透き通るような肌でこれは人形を愛してしまう人がいてもおかしくないよなぁと思ったものです。

空気人形は人形に恋をしてしまう話ではなく、人形が心を持ってしまうというお話なのですが、ラストのごみ捨て場に捨てられた姿さえも愛らしくてやはり美しくなんだか切ないなぁと思ってしまったのでした。

日本では明治から江戸時代には松本喜三郎安本亀八などの人形師たちが腕を競って生人形を作りました。あまりになまめかしい人形たちに恋してしまった人たちも多かったとか。現存する松本喜三郎の谷汲観音像を見てみると、魂抜かれてしまうくらいに色気がありますから恋してしまった人たちの気持ちがわかります。
http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2004/ikiningyo/tuika/html/ikiningyo_it-01.html

調度、美の巨人たちで安岡亀八の弟子である父をもつ平田郷陽の人形が紹介されていたのですが、こちらもまた魂抜かれてしまう人がいそうな色香の漂う人形でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/onair/index.html

人形というのは人と同じようでありながら、その瞳はどこか遠くをみつめ、対話することはありません。でも、もしかしたら心が通じるかもしれないというはかない希望を持たせてくれるものだと思います。そこが人形が永遠に人の心を魅了してやまないところ、魂を魅入られてしまう部分なのかもしれません。
久々に横浜人形の家に行きたくなりましたw