あなたへ

岩手県盛岡に住む友人の盛岡ジョーは大変なビデオ、DVDコレクターでしておススメのビデオ、DVDを盛岡のご当地ものと合わせて送ってくれます。
すばらしい友人に感謝なわけです。
年に何回か届くそんな詰め合わせの中に以前から観たいと私が言っていた高倉健主演の「ゴルゴ13」(1973年)のビデオがありました。さいとうたかお先生が映画化のオファーがあったときに「オール海外ロケ、主演は高倉健」って条件出したらボツになるかと思っていったら企画が通って映画化になっちゃっというスゴイ作品です。しかもロケ地はパーレビ体制時のイラン。健さんのゴルゴは結構かっこ良くて外国人俳優に引けとってございませんでしたよ。

そんなことがあって、私に高倉健ブームがやってきたというわけです。ゴルゴつながりで佐藤純弥監督の「新幹線大爆破」、「野性の証明」を観てその後は「網走番外地」「幸福の黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」「駅-station」「南極物語」「居酒屋兆治」「夜叉」「ホタル」をツタヤで探して来ては観ておりました。
そんな一人健さんブームをしていたらTBSラジオの「たまつくり」やテレビの東京MXの「11に夢中」に出演中の浅草キッドの玉ちゃんが「遥かなる山の呼び声」を絶賛しているではないですか!なんというタイムリーさ。

そんなこんなで一人健さんブームの夏にはまたもや盛岡ジョーより最終ミッション「ブラック・レイン」が届きこちらも久しぶりに観ました。
観た前作品、どれもこれも存在感があって高倉健という俳優の魅力があふれておりました。

そしてふと思ったことが私は映画のスクリーンで健さんを観たことがないということだったのです。テレビ放送になった映画かビデオかDVDってわけですね。
なので、今回スクリーンの健さんに会いにゆこうと思い立って昨日映画館に行ってきました。
今公開中の映画「あなたへ」です。
公式HP 
http://www.anatae.jp/

富山刑務所の指導技官の倉島(高倉健)が、亡くなった妻洋子(田中裕子)の遺言書を委託されていたNPO法人から受け取ります。そこに書かれていた故郷の長崎の海に散骨をしてほしいという願いをかなえるべく富山から長崎までの1200キロにも及ぶ道のりを車で旅をして妻との記憶をたどるというストーリーです。
長崎にたどり着くまでの時間は残りの遺言状が受け取れる期限の10日間。旅の途中に出会った人々との交流を通して妻の残した遺言の意味を考え最後の決心をして長崎の海に向かいます。

観終わった感想は、とても良い日本映画を見たと思いました。派手なアクションとかエピソードはないですが、染み入るような心地の良い時間が全編に流れていました。富山から長崎までの景色を見せるロードムービーの展開も味わい深くてイイ。
そして、主人公倉島を演じる健さんをスクリーンで観れて本当に良かったです。
妻の洋子役の田中裕子がこれまた良くて・・・お互いを思いあう姿が素敵でこういう夫婦になれたらいいなぁと思いました。
旅先で出会う人々もこれまた個性的でビートたけし佐藤浩一、余貴美子などなど名演技でエピソードの一つ一つを盛り上げていました。

しかし、健さん御年81歳ですって!
まったくそんな風には見えません。立ち居振る舞いも美しいし何よりたたずむ姿が絵になります。こういう俳優さんって今いませんね。映画俳優の存在感を堪能しました。

そうそう、劇中に出てくる洋子が富山刑務所の慰問で歌った歌。メロディーは知らないのですが、歌詞がなんとなく聴き覚えがあるなぁと思っていたら最後のテロップで宮沢賢治の「星めぐりの歌」と知りました。
調べてみたら賢治の童話「双子の星」の中に出てくる歌だったのですね。
双子の星もとても素敵な童話です。
青空文庫で読めますよ↓
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/459_15404.html
歌は田中裕子でないですが、youtubeにありました。

なんと優しい歌でしょうか。
DVD出たらまた観ようっと。