東京伝説

仕事が不動産業界なので賃貸、売買の中古住宅を見る機会がとても多い。家また部屋というのは住んでいる人の箱庭みたいなもんでその人の心理状態を表しているのかなーと思うことがある。競売の物件写真なんてもう中は廃墟っていうのが多い。住まいに愛着をなくしたときに崩壊がはじまっているのかもしれません。

私が苦手なのは通気の悪い部屋でして、空気がもう室内に停滞しているとどよーんとした感じになってしまう。空気が曲がっているというかなんていうか変な感じなんですよ。何にも見えないんですけれどね。不動産の仕事なんていうのは人の人生の縮図を見るようなもんで幸せそうな新婚さんが大喧嘩の末に離婚して退去したり、明るい未来を目指して一人暮らしを始めた社会人一年生が心壊して田舎へ帰ったり、はたまたあるときは自殺やら病死なんかの場面に出くわしてしまうこともあるわけです。同業に働く人はそんなのにかまっていたら命や心がもたんわいと当たり前、自然現象と受け止めて淡々と今日も仕事しているのです。

この仕事していて気がついたのですが、または気のせいかもしれないけれど、歴代の入居者ってなぜか似ているんですねー。なんていうか生活パターンが似ている。私の住んでいる集合住宅でもああ似ているなっていうのが最近ありました。以前住んでいた入居者が玄関ドアの前に傘立てを置いていたのですが、やはりその後の人も傘立ておいている。しかもおんなじような傘でご挨拶したら同じような家族構成。うーんちょっと不思議です。
自殺連続する部屋っていうのもやはり同じよう人が多いのですよねー。

今、あなたの住んでいる家は以前どんな人が住んでいたのか?調べてみると面白いかもしれないですよ。私の住んでいる部屋は入居者の入れ替わりが早いらしい。実は私もここははじめから長く住もうと思っていなかったのですが。後でご近所さんに聞いてなるほどと思いました。

東京伝説―ゆがんだ街の怖い話 (竹書房文庫)

東京伝説―ゆがんだ街の怖い話 (竹書房文庫)

読んだ後になんだか何かいそうで後ろ振り返ってしまう感じなんですよね。出来れば丑三つ時に一人で読んでいただくと恐怖倍増。実話シリーズということなんですが家にまつわる怖い話に私はぐっときちゃいます。屋外の出来事ならば逃げることが出来るけれど普段住んでいる家の話っていうのは身近すぎて怖いんです。この東京伝説は後味のわるーい話満載で平山夢明の集めたホラーシリーズなんですがいいです。

「超」怖い話Б(ヴェー) (竹書房文庫)

「超」怖い話Б(ヴェー) (竹書房文庫)

これも実話シリーズです。ここに出てくる怖い話の部屋もやっぱり怖い。

平山夢明の怖さっていうのはたとえば黒板とかガラス引っかいて出す奇音みたいなもんで生理的にくるんですね。