ほんのり怖い話「新耳袋」

テレビのニュースで原宿の同潤会アパートが新しくなったというのを見た。80年代にあの場所の表参道と街路樹と同潤会アパートを見て過ごした年代なんでちょっと寂しい気もするけれども一棟だけ残されたと聞いて嬉しくなった。
原宿駅の歩道橋から表参道を見る風景がとても好きだった私も若かりしころあったなーってそんな話を最近、例のkさんとしていたら不思議な体験を聞くことができた。

kさんが大学の学生生活を謳歌していたころ、原宿駅前の歩道橋から見る風景が好きでちょくちょく通って表参道を歩く人々をひがな一日何するでもなく見ていたそうだ。ある日、歩く人の中に不思議な人をみつけた。黒い三角帽子に黒いマントのおじさん。どうして気がついたのかというと向こうが表参道から自分を見上げて目があったから。
へーんなおっさんだなあと思いつつkさんはその後、就職をして結婚してと普通の日々をすごしているうちにそんなことは忘れていたそうだ。

そして待望の娘さんが産まれてその子が中学生になったある日
「お父さん、なんか私の部屋に変な人がいるの」
といわれたそうだ。腕に自信のあるkさんぬすっとか!成敗してやると娘さんの部屋にバット持って行き室内を見回した。しかし何にもいない。

おびえている娘さんにどんな奴だったかと聞くと
「黒い三角帽子に黒いマントのおじさん」
そう、kさんが歩道橋でみたおじさんと全く同じであの日の出来事が鮮やかに記憶から蘇えりびっくりしたそうだ。でも目の前にには何も見えない。いつの間にか娘さんも月日がたつうちに見えなくなったそうでその後、怪異はないそうです。

「俺には見えないけれど、どうも娘には見えたんだよねー。とうとう俺んちまできやがったかとちょっとビビッタ。次は孫に見えるのか楽しみになっちゃったよ」

とのことである。kさんは豪快に笑っていたけれど不思議なほんのり怖い話です。

ストレートにくる怖さよりも月日を越えてある日「それか!」と記憶のかなたからくる怖さっていうはほんのりとしていてよろしいです。怪異が視覚で直接くるよりも耳や皮膚、匂いで感じる怖さもほんのりとしていてこういう話も私は大好きです。

そんな話を集めたのがこの本 ↓

新耳袋―現代百物語〈第10夜〉

新耳袋―現代百物語〈第10夜〉

長らく続いていたのシリーズなんですが目出度く昨年、10夜目にして最終巻となってしまいました。東京伝説が後味の悪さならば、新耳袋はほんのりと怖くて後味が良い心地よさがあります。

本来、耳袋というのは江戸時代の不思議な話を集めたものでして、興味ある人はこちらの話もまた味わい深くて面白いのでご一読をおススメします。
下のHPでも耳袋の話がいっぱいありますのでこちらもどうぞ
耳袋
http://homepage2.nifty.com/pfruit/mimi/

私のほんのり怖い話といえば・・・20代の頃にハワイ旅行に行って帰ってきたある日、友達二人が家に訪ねてきました。旅の話、お土産などを渡して楽しくしていたのですがなぜが一人の友達が顔色悪い。もう一人を促すようにそそくさと帰ってしまったことがありました。
なんか失礼なことしたのかしら?なんて気にしていたのですが次にあったときは普通でそのまますっかりそんな出来事を忘れていたんですね。

そして何年かたってそういえば・・・あの時は早く帰っちゃたよねーという話をなにかのきっかけにあの日、促されて帰った方の友達にしたときに真相がわかりました。

「あのねー口止めされていて絶対にmonkisiiruに言ったらダメだって言われていたんだけれども、monkusiiruの肩に男の外人さんの霊が肩車して乗っかっていて私たちをにらみつけていたんだって。だから怖くて帰ったんだよ。でもね、次に会ったらなんにもいなかったから大丈夫だってあの子言っていたから言わなかったの」

3年くらいしてから聞いた真相・・・ほんのり怖くなりました。

肩車の外人さんの霊を見た友達にはしばらく会っていないのですが近いうちに会う予定です。
私の肩にまたなんか乗っていると言われたらどうしようとちょっと期待しつつヘタレなんでそういわれたらどうしようかなと心配でもあります。