埼玉「愛犬家殺人事件」

人を殺して見つからないようにするには?てっとり早いのは山など人気のないところに埋めちゃうことでしょうか?はたまた海に重りつけてしずめちゃうとか?

一番いいのは「ボディを透明にする」ことなんだそうです。ボディを透明にするというのは殺した死体をバラバラにサイコロ状に切り刻み、骨を焼き粉として川に流してしまうこと。ボディが透明だから見つかりっこないってことです。
「ボディは透明」          この言葉が耳から離れません。

95年に逮捕された埼玉愛犬家連続殺人事件の主犯、関根元の名言です。

調度、阪神大震災オウム事件と合い重なってこの事件がぶっとんでしまったので逮捕のニュースから急速に沈静してしまっていて記憶があやふやで、更に大阪の犬訓練士連続殺人事件もあったのでいまひとつ記憶に残っていなかったのですが、この本を読んで断片化していた記憶が蘇えってきて事件の全貌をしりこんなに凄かったのかと驚愕しました。

北九州連続監禁殺人事件の松永も強烈なキャラクター人格でしたが、上手がいたんですねー。昨日一気読んでしまいました。

作者は既に刑期を終えた共犯者。主犯の関根元の悪行を一番身近で見た人物です。関根元の強烈なキャラクターに支配されてしまい、死体損壊、遺棄にかかわっていきます。
四人を殺害に協力をしたという山崎(著者)ですが、関根の生活していた秩父や熊谷などには行方不明者が多数おり一説には30人以上のボディを透明にしているという話も・・・。

死体処理の方法はもう凄惨なもので、さっきまで生きていた人間をここまで出来る心理状態というのはどういうものなのだろうかと考えてしまうのです。松永も殺させた後にバラバラにしてミキサーにかけてペットボトルに入れて海に流したそうですが、自分は決して手を出さずに監禁者達にさせていました。

関根は自らが殺し、解体して透明なボディにして証拠隠滅をしたのです。死体をバラバラにして切り刻み、骨を焼き川に捨てる。解体している箇所を読んでいると罪悪感の無さと手際のよさに背筋が寒くなってきました。妻も解体を手伝っているのですが夫婦の見事な連携作業にはもう泣きます怖くて・・・。

愛犬家殺人事件と名前がついたのは、関根と浩子が熊谷で犬の繁殖業をしていたことからなのですが、この人愛犬家ではないですね。殺害された方の一人も犬の利殖に乗っかって相場の何倍かの価格で1000万円の犬を買い騙されて抗議しに行って殺されました。

笑ってしまったのはライオンやオオカミやら熊までも売っていたということ。壮大なホラのストーリー展開もまた荒唐無稽すぎてあまりにも壮大すぎて殺された方たちは誠にお気の毒ですが関根ワールドに飲み込まれたとしか言いようがないと思います。ジャパニーズターザンとかね、聞いたら笑ってしまうんだけれども実際に関根にあって話を大げさな身振り手振りで話されたら信じてしまう魔力あったんでしょうね。(この荒唐無稽なホラ吹き具合が松永に似ているなーっと)腰が低くて人懐こいおっさんというイメージも親近感をわかせ心を許させる要因となったのでしょうね。

現在、この事件は二審までいっており、死刑判決はまだ出ていません。
関根といい松永といい被害者に対しての謝罪と改心することはまだなさそうです。
どっちも共犯の妻、内縁の妻が主犯だと言ってますしねー。

悪魔を憐れむ歌

悪魔を憐れむ歌

2003年にさ出されたものですが原題は「愛犬家殺人事件」です。

「共犯者」 新潮クライムファイル 山崎 永幸/著 東京: 新潮社 1999年06月
が初版本となっていますので「悪魔を憐れむ歌」を先に読んでしまったのですが、図書館で見つかったのでこれからこの「共犯者」と読み比べしてみます。

そうそう、「新耳袋」の何巻かでこの事件をモチーフにした話が出てきます。檻の中で下半身だけの幽霊がじたばたと動いているっていう話・・・・。関根は犬にも死体を食べさせていたのでは?という疑惑もあるんです。この事件のあった場所もすでに心霊スポットになっているみたいですね。

文中に熊谷とか秩父とか鴻巣やら川越など知っている地名が出てきて大体の場所がわかってくるのでしばらくあっち方面に行きたくなくなったというのが読後の困った感想です。