幻想の彼方へ

偏愛マップを今日も作成中なのですが、好きな画家を書いているとやっぱり極めてマニアックになっていて枝が増殖しまくってます。思いつくだけ書き出してみました。
ビアズリー
○アラスター
シャガール
○アンリルソー
○ポールデルボー
月岡芳年
歌川国芳
クリムト
金子國義
○エルンスト

澁澤龍彦さんの本はほとんど読みました。絵の好みはかなりの影響を受けていると思います。今でもたまに引っ張り出して読んでいます。タイトル買いで「黒魔術の手帳」をたまたま買って面白くてすっかりはまってしまいその後は次々と読みました。

幻想の彼方へ (河出文庫)

幻想の彼方へ (河出文庫)

この本は二冊目になります。引越しで一度なくしてしまったので書店に注文して取り寄せをしてもらったのです。本が届いたときにアルバイトの男の子に「澁澤龍彦一度読んでみたいのですが、面白いですか?」と聞かれたのいくつかおススメを紹介しておきました。買った本に興味を持ってもらうというのは嬉しいものです。熱く熱く語ってしまいました。

久しぶりに本を開いて楽しんで美術書評を読むことができました。
ポールデルボーはこの本で知っていて「白鳥のレダ」という」絵をいつか見てみたいと思っていたら新宿伊勢丹美術館で展覧会があり見に行くことが出来ました。

デルボーの描いた「聖アントニウスの誘惑」という絵については後日談があってこの絵は映画で使う絵で作家11人が競作で描いたそうなのですが一位がエルンストだったそうです。エルンストはどんな絵を描いたのだろうという興味があったので図書館で画集を探してみたら見つけることが出来ました。物凄い圧倒力の絵。聖アントニウスが夢の中で異形の怪物達に襲われている絵でした。それ以来エルンストのファンになってしまったわけです。

ビアズリーはこの本の中には入っていませんが、見た後にやはり新宿伊勢丹美術館で本物の絵と対面できました。
サロメ」の絵とまさか対面できるとは大感激。サロメの絵はグロテスクとエロティシズムの妖しい雰囲気の絵で見ているだけで引き込まれてしまいました。黒一色だけの絵なのですが黒の中に色が見えるのです。彩色されていないのだけれど色鮮やかな絵でした。

浮世絵に興味を持ったのもビアズリーの絵から私は入っています。ビアズリーの生きたイギリスには浮世絵がたくさん入ってきていて構図や妖怪のような悪魔のイメージなどは北斎漫画を見てイメージを膨らませていたのを後に知りました。
これがきっかけになって浮世絵の世界へも入っていったのですから何がどこで繋がるかわかりません。今思えばビアズリーの絵に惹かれたのも北斎や広重、写楽などの浮世絵構図を目にしてきた日本人のDNAだったのではないかなとも思ってしまうのですが。

グロテスクな絵っていうのは気持ち悪い怖いというイメージがあるとは思いますがやはり引き込まれてしまうのですね。ファンタジーの夢の世界の絵も大好きなのですが人の心の中にあるものの闇のようなイメージがそのままストレートに出ているところが好きなのかもしれません。グロテスクとファンタジーは相反するものですが、私の中では同じような輝きと感銘を受けるのです。光と闇なんでしょうね。

澁澤龍彦の本で有名になったイタリアの「ボマルツォの怪獣庭園」ですが珍寺大道中でレポートを見つけました。管理人さんの小島どっかんさんとはツボが同じような気がします。珍寺から澁澤龍彦さんに繋がるとは私も思ってもいなかったのでびっくりしました。水木しげる先生も荒俣宏さんと行ったレポートも本で読んだのでここは有名な場所なんですね。珍寺とグロテスクの聖地なのでしょうか?いつか行ってみたいものです。

私は万人の好きな絵にはあまり惹かれません。例えばルノワールやモネあたりはとても素晴らしい絵ではあるのですがイマひとつピンときません。
ちょっと妖しい毒のある雰囲気の絵が好きなのです。
絵の好みは人それぞれなので自分がいい絵が一番それでいいと思います。