蓮馨寺(れんけいじ)の見世物小屋

川越の蔵の町通りに古刹があります。蓮馨寺(れんけいじ)という浄土宗のお寺です。
ここも川越祭だったので境内の中までたくさんの屋台が出ていました。
 

本堂の前も賑やかです。
本堂の脇の鐘のある広場にも屋台がたくさん。そこになんとも珍しくも懐かしいものが二つありました。
まずはお化け屋敷。
   

入り口はこんな感じでお姉さんが口上を言いながらお客さんを呼び込みしています。
値段は600円。
中に入ると遊園地などのアトラクションものとは違った移動式のアイデアがたくさんつまった昔なつかしいお化け屋敷が広がっていました。
とはいえ、暗い闇というのは見えない恐怖があるもので、お客さんキャーキャーワーワーと大騒ぎ。楽しかったです。

そして、もうひとつは見世物小屋
お世話になっている荒川さん主催HPの動物園&B級SPOT大好きのレポで発見。以前から見てみたいと思っていたので調べてみたらなんと10月の川越祭に小屋が立つというのでやってきたというわけです。
レポはこちらから→靖国神社のみたま祭りの時のレポです。
お化け屋敷
http://www.d4.dion.ne.jp/~arakawas/mitamama/mitamam1.html
http://www.d4.dion.ne.jp/~arakawas/mitamama/mitamam2.html
見世物小屋
http://www.d4.dion.ne.jp/~arakawas/mitamama/mitamam3.html
http://www.d4.dion.ne.jp/~arakawas/mitamama/mitamam4.html
見世物小屋は昔は300軒以上あったそうですが、今は2軒が残っているだけなんだそうです。

見世物小屋の入り口です。
テントと木枠でつくったなんともいい味わいの小屋。
呼び込みのお姉さんが可愛かったです。調度3時くらいに行ったら休憩中で4時くらいらはじまると教えてもらったので、少し散策をした後にまた戻ってきました。

テントの入り口に描いてある、絵がこれまたいいんです。
 

写真が何枚か貼ってありました。
ジャングル娘

へビ女。
 

あぁこのアングラ的な猥雑感がたまりません。

4時になると600円の木戸銭を払って中に入りました。
色とりどりのテントでしつらえているのでこの色が電灯に反射して摩訶不思議な世界と化しています。

まずはじめに口上師のお兄さんが出てきて、珍しいものをみせてくれます。
これは・・・・!
  

カッパのミイラです。

2009年9月号の学研の雑誌の「ムー」にこのカッパ掲載されているそうです。
口上師さんによると本当かどうかわかりませんが、見世物小屋が今年いっぱいで終わるとのこと。それでムーに掲載を許可したそうです。さらっと言ってましたが、すっごい衝撃的な発言に私はビックリ。えぇ??なくなっちゃうの???
見世物小屋の小屋作り自体が違法ということや経営が厳しいなどの理由があるとおっしゃっていました。とうことはこのお兄さんが興業主さんでもあるのでしょうか。

この後、風船の中に携帯電話を入れるマジック。リングをネックレス通すのマジック、しかもネタ公開。そして風船を飲むという芸を見せてくれました。
写真ぶれてしまったのですが、ライヴ感あるので載せておきます。
  

(写真撮影はここまででした)
続いて、ジャングル娘のピョン子ちゃんが登場。
ピョン子ちゃんはロウソクに火をつけて口の中で消してゆきます。
1本、2本、と増えてゆき最期には10本まとめて口の中で消してしまうという熱業。
更に大量のロウを口にためて一気に火を噴くという火炎放射というなんとも危なくて熱い芸を見せてくれました。
入り口の写真通りの可愛い女性なのでこんな業をするのにもうビックリデス。

そして、お待たせしましたということで真打の出番です。
ヘビ女こと小雪太夫

黒髪のおかっぱに赤い襦袢という素敵な和風美人さんです。なんとも怪しげな微笑みが妖艶でキレイ。

そんな美しい小雪太夫が鼻から口にチェーンを貫通させて、水を張ったバケツを持ち上げました。あぁぁもう痛そうでグロすぎて素敵です。

そして、なにやらがさごそと取り出したのが、シマヘビ。
シマヘビは高いので一番初めの興業のときに生きているのを使って後は一日はそれを使いまわすそうです。なので夕方興業の今回は首が離れていました。
胴体を小雪太夫がペロっとなめて、カプっと噛み千切ると「カチュッ」というヘビの骨を引きちぎっている音がなんとも言えなかったです。

見事召し上がって妖艶な笑みを浮かべる小雪太夫素敵でした。
見世物小屋を出ると賑やかな祭りの風景でまるで夢から覚めたような気分でした。

自分が持っている見世物小屋のイメージというと寺山修司の世界やら、丸尾末広の世界、そして、江戸川乱歩
アングラでグロテスクでエロティック。見てはいけないといわれながらも、覗き穴から覗かずにはいられないもの。想像力が生み出すゆがんだ万華鏡のような世界ですね。

この世界がまさに見世物小屋の中には息づいていました。

休みの前日に川越祭で見世物小屋見てきますわと会社の社長(40代後半)に言ったら川越に近い出身の人なので「むかーし、蓮馨寺で俺も見たよ。今もやっているの?」という返事。今もあるのにとても驚いていましたl。
更に川越祭を見た翌日に相方のお父さん(74歳、川越出身)に川越祭の話をしていて話が見世物小屋になったら「見世物小屋は川越祭の時に子供の頃はよく行ったよ。小さい人が出てきたり、ヘビ女もいたし、サーカスなんかも来た」とのこと。
蓮馨寺の見世物小屋って古い歴史があるんだなぁとしみじみ思いました。

祭りと見世物小屋この二つはいわばハレの日の非日常空間なんでしょうね。だからこそ、現実から遠ければ遠いほどこの世界ではリアリティが出てくるのかもしれません。
のぼりに書いてある見世物地獄の文字が頭に浮かびます。
浄土をまつるお寺の境内で現世地獄を見せてくれるなんてなんと素敵な趣向ではないですか。意味深いなぁとしみじみ思うのであります。
そんな非日常空間、毎日のケの現実の世の中を生きる糧として、これからも残してほしいものです。