福正寺の初閻魔

天気のどんよりした1月18日の日曜日に栃木までやってきたのは、もうひとつ目的がありました。それは西方町にある福正寺さんの初閻魔です。
 

初閻魔とは・・・1月と8月の16日の薮入りに昔は休みを貰って嫁さんや奉公人は実家に里帰りをしていました。地獄の世界でも閻魔大王の賽日は怖い獄卒たちも休みになり、地獄の亡者も解放されるのだそうです。それにちなみ、日ごろの暮らしを地獄の亡者たちの苦しみから反省し学び、閻魔大王の功徳をいただき、罪や災いの消滅、身体を清める、家内安全の祈願をすることです。

この初閻魔の時に福正寺さんでは普段は見ることが出来ない地獄変相図のご開帳があり、だれでも拝観が出来ます。
1月は16.17.18日、8月は16日です。
冬のひんやりした本堂に入ると右手に見えるのが地蔵菩薩様。この前に江戸時代より伝わる11幅の掛け軸がずらりと並んでいます。保存状態がよくて色も線も鮮やかです。

コの字型に並べてあり、真ん中に座って目線を上下左右にパノラマ状態で見ると自分も地獄にいるような気分になります。1枚目の亡者になって地獄にやってきたときから始まり、以後さまざまな地獄が描かれており現世にいながらも地獄めぐりができてしまいます。

地獄の世界観というのは私はまだ地獄に行ったことがないし、見たことがないのですが、実にリアリティがあるなぁと感じるのは何故なのでしょうか。絵図の中から飛び出すように閻魔大王、地獄の獄卒、、燃えさかる火炎の炎が鬼気迫る迫力で迫ってきます。それと反して亡者の単純な描写、例えるならばヘタウマ漫画のような単純な描き方がなんともいえなく対照的で面白いです。そんな亡者たちが血だらけになり、針の山を登り、獄卒にまな板で切り刻まれ、鍋で煮込まれ、舌を抜かれ、鳥獣についばまれ、竜の口に放り込まれとさまざまな責め苦を受けています。ただ、凄くおっかないというよりはなんだかホッとしていまいます。

絵師はきっとどこかで元になる地獄変相図をみてこの絵図を描いたのでしょう。しかし、描かれた人物たちは絵師の知り合いの人、家族、身内などのなじみのある人だったのかもしれません。そんな、どこかにいそうな雰囲気が地獄の恐ろしい世界と融合して不思議なコントラストを生み出し、この地獄変相図に親しみを持たせているような気がします。

そして、最後の方に出てくる、阿弥陀様、地蔵菩薩様のお優しい顔立ちも天国と地獄との静と動とも言えるコントラストを鮮やかにしていました。

絵図を見た後に「地獄」というタイトルのビデオを見せていただきました。これが素晴らしく分かりやすいもので、今さっき見た地獄変相図の意味が良く分かり大変参考になりました。

このお守りは厄除け閻魔札です。

身近に閻魔様がいつもそばにいれば心強く頼もしいですね。

福正寺HP http://www.cc9.ne.jp/~jyoudo-tochigi20/