妖怪ハンター

妖怪ハンターは今から30年も前の1978年に週間少年ジャンプに連載されていた漫画です。

妖怪ハンター 天の巻 (集英社文庫)

妖怪ハンター 天の巻 (集英社文庫)

妖怪ハンター 地の巻 (集英社文庫)

妖怪ハンター 地の巻 (集英社文庫)

異端の考古学者、稗田礼二郎がさまざまな日本の伝承、伝記、古代史にまつわる事件を紐解いてゆくという物語です。
どれもこれも非常に面白く一気に読んでしまいました。最近はこういう漫画が少なくなったなぁと思います。中でも驚嘆した物語が6篇

☆生命の木   「おらぱらいそへいくだ」というセリフのクライマックスはまさに神。       
☆海竜祭の夜  あんとく様を一度見たら忘れられません。
☆闇の客人   鬼とともに去る老人の後姿の最後のもの悲しいラストが印象に残ります。
☆産女の来る夜 この祭りは今でもどこかに本当にありそうで怖い・・・
☆うつぼ舟の女 うつぼ舟という題材を選ぶセンスが素晴らしい。浄化と穢れは表裏一体なんですねぇ。

諸星大二郎という漫画家の頭の中は一体どうなっているのでしょうか。
スケールが大きすぎてついてゆけません。
しかし、読んでいて実に楽しいのです。古代史ミステリーや日本の神話、民俗学など、好きなジャンルの話が骨子となっているので読み終えた後にもとになった古代史など見たい文献が増えるという、嬉しいおまけつきでもありました。

稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター (KCデラックス)

稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター (KCデラックス)

これも面白いです。

諸星大二郎の絵はスクリーントーンを使っておらず、線で陰影を出しています。その線がどことなく、中世ヨーロッパのエッチング画のような風味をかもし出していて、均一性がないのが妙な味わいとなってくせになります。
最近の漫画は画力や技術はとても上手いものが多いですが、こういうくせのある絵の人が少なくなったなぁと思います。

それとセリフや文字が多いのも特徴でしょうか。
理解を深めるために一度読んだ後にもう一度読みたくなる漫画なんですね。