グスコーブドリの伝記

宮沢賢治の童話はいつの時代に読んでも色あせないものがあります。何度読んでも飽きることがありません。
2009-11-22 - monksiiru(もんくしーる)の日記以前にも映画、銀河鉄道の夜を紹介したことがあるのですが、
2011-02-18 - monksiiru(もんくしーる)の日記
なんとなんとあの名作、グスコーブドリの伝記が今夏、映画公開されています。
2010年にアニメ制作会社、グループ・タックの倒産により未定となってしまい、もう見ることができないのだろうと思っていたので、この公開はとても嬉しいニュースでした。
そうそう、映画のエンドロールを見て随分と中国の会社やスタッフの名前が多いなぁと思っていたら文化庁平成23年、国際共同製作映画支援事業の制作支援対象になっていたそーな。条件は2カ国以上の国との共同制作だそーで中国との共同制作となったのですねぇ。いやはやこの紆余曲折は感慨深いものがございます。

7月7日から公開になっていたので、昨日、映画館に行って早速みてきました。

監督・脚本・絵コンテ - 杉井ギサブロー、キャラクター原案はますむらひろしです。
アニーメーション制作は手塚プロダクションです。
銀河鉄道の夜のイメージまんまのますむらひろしの猫キャラクターが登場します。主人公のブドリはザネリと同じ青い猫です。

内容はというと、おおよその話は原作の話にそっているのですが、途中、ブドリがあの世とこの世と時限を越えるような展開になってゆきます。
原作ではちょっとしか出てこない人さらいがコトリという登場人物となり、ネリをさらい、ブドリをあの世の世界へといざない、そしてラストシーンの火山の火口まで連れ去ります。
原作ではネリは生きて後にブドリと再会するのですが映画ではどうやら死んだような感じの描写になっておりました。
ラストの冷害からイーハトーヴを救うためにカルボナード火山に行くのもたった一人でブドリが火山に行ってしまうような描写になっていていきなりの火山の火口場面。そして 爆発が起こり、穏やかなイーハトーヴの春の景色が見えて、小田和正の歌が流れる・・・ってな感じの終わりです。
ここまでの流れがとにかくあっという間、私は原作読んでいたから意味はわかったのですが、隣の席のおばちゃんたちエンディングの意味が良くわかっておりませんでしたよーw
なのにめでたし、めでたしという観客は置いてけぼりってな状態w
投げっぱなしジャーマンかよとw

まぁいろいろと書いていますが、差引してもなかなか良い作品だと思います。
背景の映像がホントきれいですよー。
そして、ますむらひろしの猫キャラはやっぱりイイですからねぇ。

そんなこんなを思いながらひっさびさに原作も読んでみました。
ネットの青空文庫ですぐに読めます。興味のある方は是非。
また読んで泣いてしまいました。宮澤賢治の書く童話ってどうしてこんなに素晴らしいのか。表現力の豊かさにいつも心打たれます。
そして、自己犠牲の気高さ、尊さを見事に描ききっていますねぇ。

映画でネリをさらうときやブドリを火山に連れ去るときに叫ぶコトリのセリフ

「おおほいほい、おおほいほい」

ホントに怖いです。
宮沢賢治のこの表現ってスゴイなぁと思います。
子供の頃に原作読んでこの「おおほいほい」って心底おっかねぇと思ったものです。
映画でもそんな怖いどこかに連れてゆかれるという雰囲気良く出ていてよかったですよ。
ホント子供じゃなくて良かったw